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2019.04.011425view

おもしろ生薬・漢方薬~名前の由来と効能を考えよう~

ようこそ!はじめての漢方 Vol.12

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花

美しい女性を喩える言葉として知られていますが、いろいろな解釈があるようです。
漢方薬の原料である生薬としての効能を表す考えもありますので紹介します。

立てば芍薬
気が立って落ち着きがなく、だまって座っていられないようなタイプの女性には鎮静鎮痛の働きがある芍薬を使った薬が適している。

座れば牡丹
座ってばかりいて血行の悪くなっている女性には、古血(=瘀血 Vol.9参照)をとる働きがある牡丹を主に使った薬が適している。

※この、芍薬と牡丹が日本に入って来たのは、今から1300年前、唐から遣唐使が持ち帰ったのが始まりですか、観賞園芸用ではなく、貴重な薬として使われていたそうです。

歩く姿は百合の花
百合の花のようにゆらゆらしながら歩くような、精神の不安定がある女性には、精神を安定させる作用のある百合を主に使った薬が適している。

つまり、「すぐに腹を立てたりイライラしてしまう時は芍薬を、血のめぐりが悪い時には牡丹を、気持ちが不安定でふらふらしている時には百合を飲ませるといいですよ」という効能を覚えるための言葉だったのです。美しい女性の喩えとは全く違った意味になりますね。

難しい生薬の名前を楽しく分析

ツルドクダミは、葉がドクダミに似ていて、つる性であることから名前が付けられました。このツルドクダミの根が膨らんでいる部分(塊根=かいこん)を乾燥したものを「何首烏(かしゅう)」と呼び生薬として使われています。では、なぜ何首烏という名前になったのでしょう?

諸説あるようですが、昔中国で可(か=人名)という人が、ツルドクダミの塊根を服用したところ、首から上が烏(からす)になったからと言われています。つまり、白髪が烏の羽のように黒くなったことからつけられました。何首烏は、白髪に良いとされ、市販の育毛剤にも配合されています。

当帰(とうき)という生薬は、婦人の聖薬と呼ばれ、“血”を補いホルモンバランスを整える働きがあるので多くの婦人薬に使われています。
では、当帰の名前の由来は?
これも諸説あるようですが、妻が婦人病になり、夫が家に寄り付かなくなりました。妻は当帰の根を服用して病を癒したことで夫が家に帰ってきたことから付けられました。
当(まさ)に帰る、ですね。

難しい漢字がたくさん出てくる漢方も、由来を勉強すると楽しく身につけることができますね。

漢方薬名の由来

漢方薬の名前も独特ですが、いくつかの法則がありますのでいくつか紹介します。

□漢方薬を構成しているメインの生薬に由来似ているもの
 例えば、桂枝湯(けいしとう)、葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)など

□漢方薬を構成している生薬の名前を連ねたもの
 例えば、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、
 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)=茯苓、桂皮、白朮、甘草から1文字

□漢方理論からの効能効果を表したもの
 例えば、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)=中(お腹)を補い、気を益す漢方薬
     清暑益気湯(せいしょえっきとう)=暑さを清め、気を益す漢方薬

□漢方薬を構成している生薬の数を表したもの
 例えば、四物湯(しもつとう)=当帰、芍薬、川芎、地黄の4種類
 五苓散(ごれいさん)=猪苓、沢瀉、白朮、茯苓、桂皮の5種類

□東西南北を司る神獣である四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)に由来するもの
 例えば、白虎湯(びゃっことう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)など

また、上記の法則が混合して用いられているものなどがあります。
このような視点で漢方薬を学んでいくのも楽しいですね。

全12回で連載していた、『ようこそ!初めての漢方』は今回で終了です。
漢方の考え方、とらえ方を少しでもわかりやすく、さらに興味を持っていただければと思い、毎月書いてきました。是非、何度も読み返してくださいね。


次回からは、『プチ不調は自分でカイゼン~12の症状と簡単養生法~』というテーマで新たなコラムがスタートします。よろしくお願いします!

鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北薬科大学卒業薬学部卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中。
薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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