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2018.08.15951view
夏のカラダに染みわたる!すっぱい「山査子・洛神茶」

ちょい足し薬膳ドリンク VOL.7

良い汗と良くない汗。汗のかき過ぎにも注意。

毎日うだるような暑さ。何もしなくても、外に立っているだけで、汗が出てきます。
よく汗をかいている人を見て、「代謝が良くてうらやましい。」と言う人がいますが、汗にも良い汗と良からぬ汗があるのをご存知ですか?

例えば、運動してほどよく汗をかいた後にスッキリし、「カラダが軽くなった」「むくみが取れた」という場合は、巡りが良くなった証拠ですから良い汗ですね。
また、カゼをひいて発熱と同時に発汗する場合は、自分の正気(せいき:免疫力)がウィルスなどの異物と戦う反応によるものなので、こちらも良い汗です。

一方、暑さなど気温とは関係がなく、ちょっとした動きで出る汗や寝汗は、漢方では良からぬ汗と考えます。

夜寝ている時にかく汗(寝汗)を漢方では「盗汗(とうかん)」と言い、朝起きた時に疲労感や不眠を伴いやすくなります。
これは陰液(栄養と潤い)不足によるものです。
次に、暑いと感じてはいないけれど、駅まで数分歩いただけで汗が出るなど、少しの動きで汗が出ることを「自汗(じかん)」と言い、これは原気不足が原因で疲れやすい、弱っている方によくみられます。
また、緊張でかく汗や、ホットフラッシュなど、自律神経の失調やホルモンバランスの乱れによってかく汗は、不調のサイン=良からぬ汗としてとらえます。
このような良からぬ汗の場合は漢方薬などで体質改善するとよいでしょう。

汗をかくことは体温調節に必要なことですが、かき過ぎには注意が必要です。
漢方では、汗をかくと一緒に「気(元気の源)」と「津液(潤い)」を消耗すると考えます。大汗かいて、カラダがカラカラで元気が無くなったら困りますね。
前回のコラムにも書いた中暑(ちゅうしょ)、陽暑(ようしょ)を招くことにもなります。
そこで、失った気と津液をなんとか取り戻しましょう。

たくさん汗をかいたら「酸味」で潤いを補給しよう

漢方では「酸味」は収斂(しゅうれん)作用、つまり引き締める働きがあるため、様々な「漏れ(大汗を含め)」を防ぐのに用いられます。
酸味を持つ生薬は、その働きを活かして、頻尿や下痢、鼻水の出過ぎや多汗症を改善する漢方薬にも応用されます。

汗をかいたら収斂する。汗のかき過ぎを防ぐために酸味をとる。これが真夏の養生には必要です。(胃酸が多い方は注意)

台湾では夏に「酸梅湯(さんめいたん)」を飲む習慣があります。私も大好きなドリンクで、内容は家庭やお店によって様々ですが、基本的には烏梅(うばい:梅の燻製)、山査子、洛神、氷砂糖を煮出したものです。キレイな赤色で甘酸っぱく、少し渋みがあるドリンクです。

残念ながら烏梅は日本では医療用医薬品に属するため、なかなか手に入りませんが、烏梅を使わなくても山査子と洛神(ハイビスカス)があれば、美味しいドリンクが作れます。

渇いたカラダに。山査子・洛神(らくしん)茶で生津しよう

「生津(せいしん)」とは、津液(しんえき)を生じる、つまり潤いを生み出すこと。
暑いこの時季におすすめの酸味素材、山査子と洛神の働きを見てみましょう。

山査子(さんざし)
【性味】 温/酸、甘
【帰経】 脾胃肝
山査子はバラ科の山査の果肉で、赤く丸みのある可愛らしい果物ですが、酸味が強いため、中国では砂糖と混ぜてお菓子にするのが一般的。北京では、山芋と山査子が交互に串刺しにされた飴がけがあります。
そんな山査子は、お肉の消化を助ける働きがあるため、肉料理や脂っこい食事の後にお茶にして飲むのが最適です。
また、血の巡りを良くするため、生理痛や心疾患の養生茶としても好まれています。最近では、高脂血症や高血圧、肥満などの生活習慣病に対しても効果が期待され、ダイエット茶としても人気を集めています。

1枚目の写真に写る山査子の本は、8年程前に中国で買った本ですが、様々な不調に対して、山査子と組み合わせると良い素材のレシピが書かれています。先ほどご紹介した台湾で人気の酸梅湯についても記載されていました。
山査子のことだけで一冊の本が成り立つとは、さすが本場、中国ですね。
山査子が持つ酸味を利用して、下痢の緩和や改善にも応用されます。

洛神(らくしん)
【性味】 涼/酸
【帰経】 心脾胃大腸
洛神とはハイビスカスの花のこと。美容に良いとされハーブティーとしてよく飲まれていますね。
薬膳では、暑さの解消と元気を補う働きから、体のほてりを冷まし元気を付ける=夏バテ対策のお茶として人気があります。
また、理血(りけつ)・利水(りすい)で血と水の巡りを良くするため、シミ・そばかすやむくみ対策にも期待できそうです。

*山査子・洛神茶*
ティーポットに、山査子と洛神、氷砂糖を入れて、熱湯を注ぎ、氷砂糖をしっかり溶かす。
粗熱が取れて抽出ができたら冷蔵庫に入れて冷やします。

暑く汗をたくさんかいた後に飲むと、甘酸っぱさが体に染みわたり、とっても美味しいですよ。
冷えやすい方は、温かいまま飲むのがおすすめです。

氷砂糖には、肺を潤し咳を止める働きの他、疲れを癒やし、体にこもった余分な熱を冷ます働きがあります。

汗をたくさんかいた日に、是非お試し下さい。

小林 香里 - Kaori Kobayashi
[ 国際中医師,国際中医薬膳師,登録販売者 ]
20代の頃、過労とストレスで身体をこわしたことをきっかけに、北京中医大学日本校にて中医学や薬膳を学び始める。2005年、薬日本堂(株)に入社。店舗での漢方相談をはじめ、取材対応や薬膳レシピ監修、漢方スクール講師を務める。2017年10月退社の後、目黒区自由が丘に漢方薬店と鍼灸院を併設する漢方・鍼灸「和氣香風」を設立。自店にて漢方相談を行う傍ら、薬日本堂漢方スクールでも講師として活動。
漢方鍼灸和氣香風HP: kakikofu.com
小林香里個人ブログ: kaori-kampo.seesaa.net
インスタグラム  : kaori_kampo

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