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2018.08.201558view
養生の道しるべ~陰陽五行の自然観を指針に

気の省エネ生活 vol.14

変化する季節や気候に適応して過ごす

7月中旬、グランドで小学生の野球チームが練習をしていました。毎月一度通る道沿いですので見慣れた光景となっているはずですが、その日はダッシュのメニューをこなしている小学生を見て心身への負担が気になりました。朝方や夕方なら気にならなかったかもしれませんが、時刻は13時頃、猛暑日でした。いつもの場所のいつも通りの曜日・時刻の光景です。しかし季節と気候のせいか違和感を覚えたのだと思います。

貝原益軒の『養生訓』に「常と変と養生と」というテーマで次のような記述があります。

およそ事には<常>と<変>とがある。常のときには常を行ない、変にのぞんでは変に応ずればよいのである。
君子の道は時宜にかない、事変に対応することがよい。たとえていえば、夏は薄いひとえものを着て、冬は厚い着物を重ねて着るようなものである。いつも同じだと考えて、同じやり方にこだわってはならない。
(養生訓 全現代語訳 訳:伊藤友信 講談社学術文庫)


自然も人も常に変化しながらバランスをとっていますので、同じ人が同じ場所に住んでいても、季節や気候が違えば身体も違います。自分にとって良い健康法だとしても、いつも同じだと考えて、同じやり方にこだわるのではなく、身体の状態に合わせて柔軟にとりいれるのが養生だと思います。

養生はいろいろな角度から総合的に

貝原益軒は自ら実践し効果のあった養生法を数多く『養生訓』に記していますが、「養生法の要点」として次のようにまとめた箇所があります。

養生の道は多言を必要としない。実行することは、ただ飲食を少なくし、病気を助長するものを食べず、色欲を慎み、精気をもらさず、怒り・哀しみ・憂い・思いなどの感情に激しないことである。心を平静にして気を和らげ、言葉を少なくして無用のことを言わないで、風・寒・暑・湿の外邪を防ぎ、またときどき身体を動かし、歩行し、だらしなく横になって寝ることをせず、食気の循環をよくすることだ。これが養生の大切な点である。
(養生訓 全現代語訳 訳:伊藤友信 講談社学術文庫)


要約すると以下のようになります。
①食べ過ぎない、身体に合わないものを食べない
②心の平静を保ち、気を和らげる
③目や耳、言葉などのはたらきを静かにして気をもらさない
④気候の邪から身を守る
⑤身体をよく動かす

他のさまざまな物事と同様、養生もひとつの側面に偏らずいくつかの要素から捉えていきます。場合によっては何かひとつのことを徹底しておこなうこともあるかもしれませんが、多くの場合は自分の生活状況や心身の状態を総合的にみて、心の平穏、食べものの選択と食べ方、身体の動かし方、休息のとり方、身体に害を及ぼす気候から身を守るなど、いろいろな角度から全体的に高め整えていくことが大切だと思います。

陰陽論、五行説は漢方の土台となる自然観です。
〜物事は相対的であり、常に変化しながらバランスをとっている〜
〜物事はひとつの要素から成り立つのではなくいくつかの要素から成り立つ〜
これらの原則は、健康法に関する情報が断片的に多く発せられる現代において、自分に合った養生法を見つけるとき、あるいは合わなくなった(合わない)ものをやめるときに、私たちの判断を助けてくれる指針となります。

飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]
静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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