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2016.04.011086view

『病家須知』~寝つかれない人を眠らせる方法知ってます?

古典DE養生 第11巻

健康だなーと感じる時は、どんな時ですか?

以前、漢方スクールの生徒さんに、こんな質問をしたことがあります。
『皆さんは、どんな時ですか?』

『ご飯がおいしい時』
『快便の時』
『健康診断で何もひっかからなかった時』
など

人それぞれですが、一番多かった意見が“朝の目覚めがスッキリしている時”でした。
陰陽で考えても、質の良い睡眠は、活力である“気”を充電する大きな要素ですね。

「病家須知(びょうかすち)」の著者である平野重誠は、食・眠・体・息・心の調和をはかる養生法と「医者三分、看病七分」(家庭での養生重視)で自然治癒力を高め、未病を治す実践活用術を確立しました。

今回は、病家須知より休養生の実践として「寝付かれない者を眠らせる方法」をご紹介します。

《夜寝るときに歌をうたい、胸・腹・腰・四肢を撫で、息を臍下丹田に送る簡単で行いやすい方法で病をいやす方法》
すべての仕事が終わってから便所に行き、寝巻きを着、心を落ち着かせて床に入る。仰向けに寝て肩と首の間をゆっくり伸ばし、両手を身体に沿わせて下に垂れ、両足を伸ばして全身の力を抜いて楽にさせ、たとえるならば死んだらこうかと思える状態になって、まず、口を開いて臍下丹田から息を七回吐き出す。
※臍下丹田:へそのすぐ下あたりのところ

第一の術
口と目を閉じて心静かに両手で胸の両側面から下腹部まで、歌を二十一回唱えるあいだ、じっくりと撫で下ろす。

第二の術
その後、両もものつけねから腰のつがいにかけて、太ももの内外を膝のほうへ代わる代わる力を入れて手の届くところまで、歌七回のあいだ、撫で下ろす。

第三の術
それから、歌七回のあいだ、両足を伸ばし足の親指を揺り動かす。

以上、歌三十五回をゆっくり唱えて、すべてが終わったら、そのまま以前のように全身をゆったりとさせて、少しも緊張したりかたくなったりしたところがないようにし、二十一回鼻から息を入れてゆっくりと臍下丹田に送る。数えるように息を吸うたびに鼻から出し、口は一切開いてはならない。

『病家須知第一巻』「養生の総論 他」より抜粋


歌とは、自分の好きな歌謡曲などではなく、万葉集にある以下の歌をさします。

いほ原の 清見の崎の 三保の浦の
 
ゆたけき見つつ 物思ひなし
 
訳)いほ原の清見の崎と三保の浦のゆったりとした風景を見ていると、心に思い悩む事も無くなる。
※「三保の浦」は今の三保の松原あたりの海。

1日が終わると身体が疲れて神経が興奮している上実下虚(じょうじつげきょ)の状態になっています。
上虚下実にして深い眠りを得ることが、一番の活力になりますね。歌を何回唱えたか、数えるのも大変ですが、平野重誠はこの方法で多くの患者さんを快方へ導いたようです。

春の訪れと共に、陽が盛んになり、眠りが浅く、夢を多く見やすくなる季節です。
元気な毎日を過ごすためにも是非、今晩実践してみてください。

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鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中
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