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2016.04.01389view
名前で効果がわかる?!処方名の不思議~治打撲一方(ちだぼくいっぽう)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.11

いきなりですがクイズです。

次の4つの漢方薬、処方名をみてどのような効果があるか想像できますか?

①潤腸湯(じゅんちょうとう)
②治打撲一方(ちだぼくいっぽう)
③治頭瘡一方(ちずそういっぽう)
④十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)


答えは後程、披露することにして今回は処方名の不思議をお伝えしましょう。

【漢方の処方名】
そもそも漢方薬は、自然界にある植物や動物、鉱物を乾燥させて刻んだ生薬を、漢方の理論に則して組み合わせた医薬品です。生薬単独で効果を発揮するものもありますが、たいていは数種、多いものでは20種以上の生薬を組み合わせ、チームワークを組んで効果を発揮します。処方名はチーム名といってもよいでしょう。

【主役が一目瞭然の処方名】
カゼ薬で有名な葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)。この処方名は、主役がどの生薬かわかるような命名になっています。チームリーダーの名前がチーム名になっているもので、リーダーの意気込みが感じられますね。葛根湯は葛根(クズの根)が頑張ることで、カゼの初期に起こる項背部のこわばりをやわらげることができます。
婦人科でよく出される当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、当帰と芍薬、ダブルキャストで血を補い、女性のさまざまな不調に対処します。

【数字が入っている処方名】
五苓散(ごれいさん)、六味地黄丸(ろくみじおうがん)、二朮湯(にじゅつとう)といった具合で、名前に数字が入っているものもみられます。これらは、構成成分の数や主役の配合数などが名前にあらわれているケースです。

五苓散は、5種の生薬で構成されています。茯苓(ぶくりょう)・猪苓(ちょれい)という生薬は、水巡りをよくするという主目的のために頑張っているので、名前に取り上げられています。六味地黄丸は、主役の地黄を含めた6つの生薬で構成されているので、この名前がついています。二朮湯の構成生薬は12種ですが、蒼朮(そうじゅつ)、白朮(びゃくじゅつ)という2つの朮が主役なので、この名前がついています。

【構成生薬ズバリの処方名】
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)という漢方薬があります。処方を構成している4種の生薬名をそのままズバリあてはめて命名しています。生薬4種、わかりますか?

答えは、
茯苓、桂皮(けいひ)、白朮、甘草(かんぞう)です。中身が一目瞭然でおもしろいですね。

【効能がわかる処方名】
冒頭に出した4つの漢方薬のように、処方名に効能が盛り込まれているものも数多くあります。
①の潤腸湯は「腸を潤す」ものですから、便秘、特に高齢者や貧血気味の女性に多いコロコロ便の便秘によく効きます。②の治打撲一方は「打撲の痛み」、③の治頭瘡一方は頭瘡、すなわち「頭にあるおでき」を治します。名前にもなっているのだから、効かないわけはないだろうと感じさせてくれますね。④の十全大補湯は病院でもよく使われています。「全部、大きな範囲で補う」という、強い決意のようなものが感じられませんか?病後の回復を早めるため、抗ガン剤治療などで副作用が出にくいように、虚弱体質の改善など、広く元気を補う処方として繁用されています。

病院で処方されたもの、ドラッグストアでみかけたもの、雑誌で特集されたものなど、これからは難しい漢方薬の名前も少し違った目線でみることが出来るとおもしろいですね。


次回は、「え?こんなことにも漢方薬が効くの?」という漢方薬のおもしろい効能を紹介します。

齋藤 友香理 - Yukari Saito
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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