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2015.12.01382view
『養生訓』~晩年力を鍛える!老いの価値をみつけよう。

古典DE養生 第7巻

「健康寿命」という言葉を最近耳にします。

健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことです。平均寿命と健康寿命では、男性は約9年、女性は12年の差があります。9年~12年は病気を抱えながら生活していることになります。

この差を埋めて、良い年の取り方をしたいですね。

現代では、若いことに価値がありアンチエイジングを求めて、努力している人がとても多いですが、江戸時代に生きた貝原益軒は、『養生訓』のなかで、むしろ“老い”に価値をおいています。

「長生きすれば楽しみは多く益が多い。
日々いまだ知らなかったことを知り、月々いまだよくできなかったことができるようになる。
それゆえ、学問が向上することも、知識に明るくなることも、長生きしなければ得られないのである。
したがって、養生の術を行ない、いかにしても天寿を保ち、五十歳を越え、なるべくはもっと長生きし、六十歳以上の「寿」の領域に達すべきである。」

『養生訓』 「総論上」より



「老いてのちは、1日を10日と考えて日々を楽しみなさい。
つねに日を惜しみ、1日も無駄に過ごしてはいけない。世の中の人のありさまが自分の考えに合っていなくても、凡人たちのすることだから、それも仕方のないことだと思って、自分の子弟をはじめ、人の過ちを寛大に許し、とがめてはならない。怒ったり、恨んだりしてもいけない。また、自分が幸福でなかったり、人が自分に対して理にかなわぬことを押しつけてくることも、浮世の習いはこんなものだと思って、天命として甘んじて受け入れ、憂えてはならない。」

『養生訓』 「養老」より

江戸時代は、生命は天と父母から与えられたもので、寿命は生まれながら決まっていると信じられていました。それを縮めないようにすることが養生であり、そのためには何をどのようにすべきか、方法を説いているのが養生法です。そのため『養生訓』は、日々の過ごし方や毎日の生活にかかわることなど、考えの及ぶかぎり細かく表現しています。

現代の延命重視の考えとは、だいぶ違いますね。

貝原益軒は、膨大な著作物を残していますが、主だった著作物は60歳を超えてからの作品でした。
特に70歳から亡くなる84歳までに、なんと30冊近い書物を出版しています。

恐るべし晩年力!

人生を楽な気持ちで、このむところを楽しむのが、貝原益軒のベースだったのだと思います。
単に長生きするだけでなく、健康でなければできないことを、心から楽しんで人生を送った益軒を見習いたいものです。

鈴木 養平 - Youhei Suzuki
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北薬科大学卒業薬学部卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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