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2015.06.011199view
みえない不快な塊を解消する? ~半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.1

『漢方ライフ』愛読者の皆さま、こんにちは。漢方スクールで講師をしている薬剤師の齋藤です。
店舗での漢方相談の経験をもとに、身近な症状と漢方薬の不思議な関係をご紹介します。
漢方薬を知ることで、ご自身の健康について考える機会になれば幸いです。

皆さんは「気」のつく言葉をいくつあげられますか?
元気、やる気、気温、天気、気持ちなど、たくさんありますね。この「気」、漢方では人体の構成成分であり、生命エネルギーであると考えます。健康な時には「気」が満ちていて、スムーズにめぐっていますが、ストレスや悩みなどの感情変化や、生活リズムの乱れなどがあると、すぐに固まってしまいます。

今回は、そんな「気」の塊のお話です。

実際にご相談のあったお客様ですが、最初は食事がのどを通らないという感じから始まりました。ご主人の両親と同居が始まり、いろいろ気遣いして疲れているからかな?と思ったそうです。けれど、しばらくするうちに、のどに塊が詰まっているように感じ、唾を飲みこむのもつらく、歯を磨くときにも塊が上がってくるようで気持ちが悪くなってしまうようになりました。のどにポリープでもできたのかと、慌てて耳鼻咽喉科にかかり、レントゲンを撮り、内視鏡でも検査をしましたが何も出てきません。
医者からは「何もないので様子をみましょう」と言われてしまい、藁にもすがる思いで漢方相談に来られました。お話を聞くうちに、お客様がとても頑張り屋さんで、職場でも家庭でもいろいろなことを見事にこなしていることがわかりました。
私は素直にすごいなあと思い、「○○さん、本当に頑張っているのですね。でも時々ため息をついてあげたほうがいいですよ。」とお伝えしたのです。すると、ひとつため息をついた後に、堰を切ったように泣き始めました。よほど詰まっていたのでしょう…

実はこのようなケースは特別ではなく、頻繁にみられます。漢方では「梅核気(ばいかくき)」といって、見えない「気」の塊が梅の種のようにのどにつかえてしまったと表現しています。エネルギーの塊ですから、目に見えなくて当然です。お腹にガスがたまって苦しい、みぞおちの辺りに塊を感じると表現されることもあります。この塊を解消する漢方薬が「半夏(はんげ)厚朴(こうぼく)湯(とう)」です。半夏厚朴湯には香りのよい紫蘇の葉と厚朴という生薬が配合されていて、「気」の塊を取り除く役割を果たします。ため息をつくという行動も実は、「気」の詰まりをとる方法のひとつだったのです。
皆さん、頑張り過ぎていませんか?「あ、梅の種があるかも…」と思ったあなた、まずはため息をついて、深呼吸。ハーブティーを飲んで休憩しましょうね。

齋藤 友香理 - Yukari Saito
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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