TOP読む(コラム一覧) > 少林寺の僧たちを鍛えた、達磨大使による「易筋経」
2015.04.011396view
少林寺の僧たちを鍛えた、達磨大使による「易筋経」

劉梅先生の気功のおはなし⑨

「易」は変化、変動、変えるという意味で、「筋」は筋肉、関節、「経」はまとめた方法。この動作は古代の農業や日常生活の動きを真似て作られ、全部で12式あります。

遥か昔、インドの達磨大師によってあみだされ、約1500年前に中国に伝わり、少林寺の僧侶へと伝授されました。虚弱体質の多い僧侶でしたが、易筋経の修行で身体が丈夫になり、毎日の雑務による疲労回復が早くなったそうです。その後、武術の鍛錬方法にまで発展しました。約350年前の清明時代には、庶民の間にも知られ様々な流派が生まれました。

中国では鍼灸と按摩の学校で易筋経を必ず練習しますが、なぜだと思いますか?施術の現場は、いつも同じ姿勢で、指、肩、腕、腰を使うので負担が大きく、放っておくとどんどん固くなり体調の悪化に繋がります。易筋経を取り入れることで、少しでも身体の負担を軽減し、体力と柔軟性を持つことが施術者にとって大切だからです。

経絡(気・血の流れ)を治療する鍼灸師や按摩師は、その知識があるだけに易筋経を練習すると、自ら気を充実させ、巡りを良くすることができます。更に感覚までもが鋭くなり、現場で役立ちます。健康で気が溢れていると、手が温かく、力加減も繊細で最適になるので、患者は気持ちよく感じることができ、回復も早くなるというわけです。

シンプルな動作とゆっくりした腹式呼吸に合わせて、「力を入れたり、抜いたり」という動作を繰り返すと、強く丈夫な筋肉、関節、骨を作り上げます。また内臓を強化、経絡の流れや姿勢も良くなり、集中力、運動能力も上がります。特に体の固い方におすすめです。

2つの動作を解説します。


1・摘星換斗勢(てきせいかんとうせい)

腹式呼吸が基本。鼻から吸うと同時に腰、背中、肩をねじり、片手は上に上げ、反対の手は甲が腰にあたるようにおく。目は上げた手の労宮を見る。鼻から吐く時に手をおろし、反対側に移る。
【効能】首、肩、背中、腰の凝り性、痛みの改善、体の歪みを整える


2・三盤落地勢(さんばんらくちせい)

写真を参考して、両足を開き、膝を曲げ、腰を落とす。お尻を引き、両手は水面に浮いているボールを軽く押すような感じ。
【効能】腰、腹、下肢の強化、平衡感覚の強化

次回(5/1)は古代の名医たちが「気功について語る言葉」を紹介します。養生にも治療にも欠かせない気功。名医は気功を極めます。

劉 梅 –リュウ・メイ
[中医師 ・薬日本堂漢方スクール専任講師]
中国黒龍江省生まれ、黒龍江中医薬大学卒業後、ハルビン医科大学付属二院に内科医として臨床を経験。1994年に来日、北海道大学医学部客員研究員を経て、2001年、薬日本堂に入社。薬局勤務の傍ら漢方相談員の指導・育成に参加、TV・雑誌でも活躍する。主な著書『中国の女医さんが教えるおいしくて身体にいい中華』『病気・症状を改善 これならできる漢方ごはん』。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

ページトップへ