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公開日:2025.11.21 187view

こじれたカゼに~柴胡桂枝湯

漢方薬のつぶやき vol.37

あなどれないカゼ
カゼはもっとも身近な不調でありながら、長引くとてこずることもあります。体力のある人の場合はすみやかに治りますが、虚弱な人や体力が低下している人では初期の対応を適切におこなってもこじれることがあるため侮れません。

カゼが長引く場合、漢方では経過とともに使う薬を変えていきます。カゼのひきはじめは葛根湯といわれますが、たしかに葛根湯はひきはじめの状態に用います。ということは、カゼがスッキリ治らずこじれてくると別の漢方薬を使うということ。

今回は、カゼに効果のある漢方薬の中で、使用する場面が多い柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)をご紹介します。

カゼの経過と服用のタイミング
柴胡桂枝湯をカゼに用いる時期は、一言でいうと、「4,5日たって熱は下がったけれどもすっきり治らない」時期に候補となります。

カゼのひきはじめは寒気、発熱、節々の痛み、頭痛、鼻水、咽の痛みなどの症状が次から次へと出てきます。このような初期は葛根湯です。
ちなみに少しテーマからそれますが、葛根湯が適用になるポイントは寒気が強い、背中がゾクゾクしたり全身の節々が痛い、汗が出ていないことです。

話を戻します。カゼのひきはじめ、葛根湯を服用し、体を休め、温かくしていれば2、3日で快方へ向かっていきます。しかし、活動を控えずに無理をしたときや、もともと体力のない人、高齢の方などでは、快方へ向かわずに4、5日たっても不調が続いてしまうことがあります。

熱は下がったのにカゼは良くなっていない。このときには葛根湯の服用時期は過ぎています。

カゼがこじれたときの症状
病気というのはずっと同じ状態でとどまることはなく、時間の経過、体力の有無などのさまざまな要因で状態が変化していきます。漢方ではこの変化を重要視していて、症状が変われば治し方も変えていきます。

カゼはとくに変化が早く、数日のうちにどんどん状態は変わります。ですから、ひきはじめに用いた葛根湯を一週間服用し続けるということはほとんどありません。

さて、4,5日経っても体調が戻らない。具体的には次のような症状があれば柴胡桂枝湯が適用になります。
体温計で計る体温は正常範囲におさまっているけれど、熱く感じたり、そうかと思うと寒く感じたりして、熱感と寒気を繰り返す。食欲がない。吐き気を感じる。めまいがする。口の中が苦く感じたり、口の渇きが気になる。季肋部(腹部の脇、肋骨のあたり)に痛みや違和感がある。

こういった症状はカゼが治りきらずに次の段階に進んだことを示します。前述の症状のうち2,3個あてはまるようなときに、柴胡桂枝湯が用いられます。

カゼと漢方薬
漢方は病名だけでは治し方は決まりません。つまり、「カゼ」といっても、カゼの初期、こじれた中期、そして1週間たっても食欲がない、2週間たっても咳が出ているなど、変化する症状に対してそれぞれ適切な治し方と漢方薬があります。

柴胡桂枝湯の適用症状をまとめます。
カゼがこじれて4,5日たってもすっきり治らないような時期。熱は下がったけれど寒気や熱感が残っていて、食欲がない、ふらつくなどの症状があるときに適用します。柴胡桂枝湯を数日服用して体調が回復すれば服用をやめます。

最後に。カゼがこじれた場合の症状はさまざまです。咳が辛い、鼻水が止まらない、食欲不振で軟便気味、疲労倦怠感が強いなど。それぞれに適切な漢方薬があり、今回ご紹介した柴胡桂枝湯はそのひとつです。
ご自分の症状に合った漢方薬をお求めになりたいたときは漢方専門の薬局や医療機関に相談してみましょう。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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