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公開日:2025.11.14 更新日:2025.11.1489view

寒いのに暑い?秋冬は更年期の不調が悪化する…

漢方であなたを応援vol.44「冬の更年期不調」

冷えるのにのぼせる・・・上熱下寒(じょうねつげかん)

立冬を過ぎた11月中旬ともなると、日が暮れるのも早くなり、朝晩の冷え込みも増してきます。
周囲を見渡すと、コートにマフラー、手袋をつけて寒そうにしている方を見かけるようになりました。冷えは万病のもとですから、しっかり防寒して過ごすことが大切です。

ただ、更年期の女性の中には「寒いのは苦手だけど、冬もホットフラッシュで汗をかくことが多く困る…」「足腰は冷えるけれど、顔はのぼせる」という方もいます。
冷えと暑さが混在するのはなぜでしょう?

自然界では冷たいものは下に流れてたまり、温かいものは上に上昇する傾向があります。冷房や暖房の風、沸かしたお風呂で時間がたった場合などからイメージできます。
体内でも気血(エネルギーや栄養)の巡りが悪いと、冷えのぼせが生じてしまいます。
更年期の女性で冷えのぼせが多いのは、ホルモンバランスの乱れが気血の流れに影響するからです。

更年期不調が秋冬に悪化
秋冬に更年期の不調が重くなるのは、寒暖差や急激な気温変化によって自律神経のバランスが乱されることに起因します。

■寒暖差や気温の急変
急な気温の変化は、振り子が大きく左右に触れるのと同じで自律神経のバランスを乱します。
すると、体内の温度調整が難しくなり、更年期症状のひとつであるホットフラッシュが多くあらわれます。

他にも、秋冬特有の冷えや乾燥が更年期の不調を悪化させると考えます。

■冷え
特に下半身の冷えによって血行が悪くなり、「冷えのぼせ」を引き起こすことがあります。
また、寒いと体内の水分を排出するために頻尿になり、過活動膀胱炎などもみられます。

■乾燥
秋から冬にかけて湿度が急激に下がり、肌だけでなく全身が乾燥しやすくなります。
女性にとって潤いは重要。不足すると、肌のシワや痒み、髪のパサつき、陰部の痒み、関節の痛みなどがあらわれます。

漢方では、体を潤す成分である「血(けつ)」は乾燥を防ぐだけでなく、心身に栄養を届けると考えます。意識や思考、記憶、睡眠などは「血」から栄養を受けているため、不足すると眠りが浅くなったり、日中ボーっとするなどもあらわれます。


温度調整と潤いで美と健康を保とう
養生のポイントは3つです。

①下半身を温める
脱ぎ着しやすい重ね着で気温の変動に対応し、首元や足元は冷やさないようにしましょう。
湯船に浸かって体を温めることも大切です。のぼせが気になる方は、肩に乾いたタオルをかけて半身浴するのもおすすめです。

②しっかり休む
睡眠不足は回復を遅くするだけでなく、消耗を早めます。出来るだけ日付が変わる前に就寝するように意識しましょう。
日中の適度な運動は、下半身の血行を良くするためにも必要です。移動時の階段昇降や、休憩時のその場足踏みがおすすめです。

③食事で潤い補充
薬膳では赤色と黒色の食材が潤いを補うと考えます。手軽なところでは、ご飯を炊く時に黒豆や黒米を入れる、お茶にクコの実を加えるなどがあります。
ナッツやドライフルーツも潤い補充におすすめです。ヨーグルトやシリアルをよく食べるという方はぜひ加えてください。小腹が空いた時のおやつにも最適です。

秋冬のケアで更年期にも元気に過ごしましょう。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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