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公開日:2025.12.01 361view

冬なのに“ほてる”理由とは?~身体の誤作動に気づく冬のセルフケア~

プチ不調は自分でカイゼン Vol.80

冬に起こる意外な不調 — その正体は「熱こもり」!?
「冬は冷える季節だから、身体は冷えて当然」そう思っている方は多いですが、実は冬こそ ほてり・口内炎・胃のムカつき が増える時期です。
なぜ寒いのに熱がこもるのか?理由は、冬の身体が“毛穴を閉じて熱を逃さない状態”になるからです。

暖房の効いた室内、長時間の座り仕事、こってりした食事、辛いもの・お酒……これらが重なると、外へ熱を発散できないため、身体の中に熱が停滞します。

その結果——
・顔だけほてる
・お腹が張る、胃のつかえ
・喉の乾燥や痛み
・口内炎
・便が臭い、べたつく
など、冬特有の「内側の熱」が原因の不調が現れやすくなります。

実は、冬の不調は“冷え”と“こもる熱”の二重構造。このバランスの崩れを整える鍵が、昔から伝わる「養生三宝」です。

冬の味方『養生三宝』— 熱を逃がし巡りを整える3つの食材
養生三宝とは、薬膳の知恵に基づく《白菜》《大根》《豆腐》 の3つのことを言います。
どれも身近な食材ですが、冬の内側の熱を整える働きに優れています。

● 白菜  / 甘・平性
中にこもった熱をやさしく冷まし、便通を整える。のぼせや二日酔いにも。

● 大根  / 甘辛・涼性
消化を促し、胃もたれや気の巡りの停滞に。咳、痰、口内炎にも。

● 豆腐  / 甘・涼性
乾燥した身体を潤し、ほてりや口の渇きを改善。

いずれも“冷ます性質”があるため冬向きではないように感じられますが、冬のからだは熱を逃がしにくい状態。冷ましつつ、巡らせ、整える という“調整力”こそが三宝の役割です。

■ 養生三宝が必要な人・セルフチェック(3つ以上あれば三宝を多めに)

□お酒をよく飲む
□辛いもの・揚げもの・味が濃い料理が好き
□夜に甘いものが欲しくなる
□便が臭い・べたつく
□口内炎ができやすい
□ほてりやすい
□舌が赤い、苔が黄色い
□鼻水や尿が黄色い
□食べ過ぎ傾向がある

白菜・大根・豆腐は、鍋・味噌汁・煮物など万能。白菜・大根・豆腐にキノコや鶏肉を入れた“三宝鍋”
など作ってみてはいかがでしょうか?

冬の養生実践編 —熱を逃がし、冷えを寄せつけない3つの方法

① 「3つの首」を守る
首・手首・足首は冷えの入り口。特にうなじは風寒が入りやすい場所なので、濡れた髪のまま放置するのはNG。下半身を温めることが、全身の巡りに直結します。
② 毛管運動で巡りを促進
仰向けで手足を上げ、小刻みに震わせる簡単運動。冷え性、むくみ、こむら返り対策に
③ 黒い食材で“腎”のケア
冬に弱りやすい腎を補う黒食材を意識的に。黒豆・黒米・昆布・わかめ・黒きくらげ・プーアル茶などが◎

冬は“温めるだけ”では不十分。熱をためないバランスが、今年の冬をもっと快適にします。
冷え対策はもちろん大切ですが、“こもった熱をどう逃がすか”を意識するだけで、冬の体調は大きく変わります。養生三宝とシンプルなセルフケアを味方に、軽やかで心地よい冬をお過ごしください。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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