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公開日:2025.10.14 124view

秋の鼻炎は複雑?!ドライノーズと後鼻漏

漢方であなたを応援vol.43「秋の鼻炎対策」

秋の花粉も要注意
花粉症といえば、2月~4月のスギ花粉が有名ですが、9月~11月の秋花粉も厄介です。この時期は空き地や道端、河川敷など身近で見られるブタクサやヨモギ、カナムグラなどの花粉が飛散し、花粉症を引き起こします。

花粉症、鼻炎の症状として、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがあります。
秋の鼻炎はちょっと複雑…季節の特徴を読み解いて、症状を理解しましょう。

夏の食生活が鼻炎の症状に影響するなんて!
秋の花粉症で次のような症状が気になる方、夏の食生活が影響しているかもしれません。

□水っぽい透明な鼻水がたれる
□鼻水がのどの奥にたれてくる
□薄い痰がからむ


これらは胃腸が冷えている時に起こります。夏に氷入りのドリンクや冷たいかき氷、冷やした麺類などを多くとり過ぎていませんでしたか?
鼻水がのどの奥にたれてくる状態は後鼻漏(こうびろう)と呼ばれます。これが続くと、慢性的な咳や喉の不快感、中耳炎や胃の不調、さらには集中力の低下や食欲不振、睡眠障害などの不調を引き起こすことがあります。

■紅茶やほうじ茶など温めるお茶をホットで少量ずつ飲む
■生姜やシソ、ネギ、シナモンなど辛味があり温める食材をとる
■胃腸をいたわるお粥やスープを食事の中心にする
■水分の多い果物や生野菜は冷えるので量を加減する


大切なのは、腹部を温めて水はけをよくすること。
漢方薬では蓄膿症にも用いられる半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)を使うことがあります。

感染症を招きやすいドライノーズ

秋は空気が乾燥する季節。この時期の鼻炎でもうひとつ特徴的なのが鼻粘膜の乾燥、いわゆるドライノーズです。
鼻粘膜は異物が素通りして体内に侵入しないよう、昔のハエとり紙のような役割で防御する大切なもの。これが乾燥すると、鼻の中の乾燥感、ムズムズ感、ヒリヒリとした痛みなどが生じ、粘膜が硬くなりひび割れて鼻血が出やすくなります。
さらに、鼻粘膜のバリア機能が低下し、鼻が詰まる、感染症にかかりやすくなる、アレルギー症状が悪化するなどのリスクが増えます。

温度や湿度の調整が難しい場所で多くの時間を過ごす方、高齢で体内の潤いが不足しがちな方などに多くみられるドライノーズ。さまざまな角度から保湿対策をすることが重要です。
◆加湿器や濡れタオルで部屋の湿度を調整する
◆マスクを着用する
◆鼻の入口にワセリンを塗る
◆蒸しタオルを鼻に当てて蒸気で保湿する
◆潤いを補うナッツや胡麻、オリーブオイルなどを食事に取り入れる

漢方薬では潤いを補う麦門冬湯(ばくもんどうとう)を用いることがあります。
水分が多い症状、少ない症状、正反対の症状が出やすい秋の鼻炎、ご自身の状態に合わせた対策で快適に過ごしましょう。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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