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公開日:2025.08.07 更新日:2025.08.081403view

妊活するなら男性も!~改めて知る男性の性と精~

漢方で妊活応援!パートナーと深める性養生vol.3

「精」は腎にたくわえられている

漢方スクール講師・カウンセラーの荒毛です。
今回は妊活を“ふたりのもの”として考える上で欠かせない、
男性の「性と精」について漢方の視点から深掘りしていきましょう。

漢方では「精(せい)」が生命活動の根源的物質であり、男女ともに精が充実していることが、妊娠力=生命力に繋がると考えられています。
精は「腎」に蓄えられているので、「腎精(じんせい)」と呼び、生殖・成長・老化など、生命エネルギー全般の働きを担っています。
腎精が一定に達すると、生殖活動を促す天癸(てんき)という物質が作られます。「男性は8の倍数、女性は7の倍数の年に身体に大きな変化があるため、男子は16歳、女子は14歳頃に天葵が充実して生殖活動が可能になります。そして、男女ともに40歳前後を境に腎精が衰えるのと共に天癸のはたらきも衰え始めます(引用:黄帝内経 上古天真論)

腎精の不足は、「疲れ・足腰のだるさ・夜間尿・物忘れ」などの症状、男性の生殖機能では「インポテンツ・精力減退」などにも繋がります。
腎精不足にならないためにも、精を減らさず補う養生が必要です。

精を減らさないために
精を減らさないポイントは3つ

①【休養】 夜更かしをしない!
腎精は「夜」に養われ、睡眠不足は精を大きく消耗します。日付が変わる前に寝ましょう。

②【性生活】 節度をもって性欲を解消する
射精は、体の外に精を出すため腎精を消耗します。頻度が多いと腎精が足りなくなり、精子の質が落ちる事にも!

20歳は4日に1回、30歳は8日に1回、40歳は16日に1回、50歳は20日に1回、60歳は体力盛んなら1ヵ月に1回
(引用:養生訓)

上記の回数は性交の一つの目安ですが、過度に精を消耗しないための、節度として捉えておくと良いですよ。

③温めすぎない!
漢方の「陰陽」の考えでは、男性は「陽」の体質で、体に熱がこもりやすいと考えます。
精子を作っている睾丸は、熱を放出し、冷やすために体の外に垂れ下がっている構造をしています。
東西の医学ともに、控えたい行動として、精巣・睾丸に熱を与えないことと言われています。

サウナで有名なフィンランドでの研究によると、2週間にわたりサウナを利用した男性は、精子の数と運動率が減少する報告があり、
サウナをやめると、精子の数・質は数カ月以内に回復するデータがあります。私もサウナが好きですが、何事にもほどほどが大事ですね。
ちなみに、女性は「陰」の体質で、体が冷えやすいので、女性は温めることで体調が良くなる方が多いですよ。

精を増やし、性欲を高めるために
精を増やすポイントは3つ!

①【食事】腎精を補う食材!
•黒ごま・黒豆:黒い食材は腎が喜ぶ食材です。
•クルミなどのナッツ:木の実などの種子類は、次の世代を生み出すエネルギーがたっぷり!
•牡蠣、エビ、イカ:海で獲れるものは腎を元気にします!良質なタンパク質と亜鉛も豊富で精子の質を高めます。
漢方の体内時計の考え方にあわせて、「腎」が担当する時間帯の17-19時に、精がつくものを摂るのがおすすめです。

「漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方 vol.11」
こちら

②【運動】足腰を強化!
「腎」は足腰に繋がり、足腰が鍛えられると「腎」が元気になります。
全身の筋肉の割合は、足腰に6~7割あると言われています ※諸説あり
漢方医学でも、腰を深く落として行う気功は、「腎」を鍛える効果があるため、一番シンプルな鍛え方は「スクワット」です!
まずは週3~4日、10~15回/1セット行ってみましょう!楽にできるようになったら2セット~3セットと増やすとより良いです。

③【香り】性本能を呼び覚ます!
男性が性欲を高められない=セックスレスの一因として、
”互いの体臭に慣れてしまい性欲がわかない”とも言われています。

漢方の古い書物で、房事(セックス)の記述を見ると、良く登場するのが麝香(ジャコウジカのオスの香線)!
ムスクといわれるもので、こちらの方が「聞いたことがある!」という方も多いのではないでしょうか。
匂いに慣れるのは、「家族になった証拠」とも言われますが、身体的に「男として」「女として」スキンシップが欲しい!
という時には、あえていつもとは違う匂いを香りで演出してみるのもいいですよ。

男性は体を鍛えることで、心も自信が増し、精も高まります。
次回は「男女の性と精 一緒にできる妊活の養生と漢方」をテーマにお届けします。
どうぞお楽しみに!

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妊活
荒毛 克麻
荒毛 克麻 - Katsuma Arake

[カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長・薬日本堂漢方スクール講師]
自身の体調を崩した事をきっかけに、薬日本堂漢方スクールにて漢方を学び始める。養生・漢方の魅力を多くの方に伝えたい想いから、2012年薬日本堂に入社。現在はカガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長として、漢方相談を行いながら、スクール講師を務める。ダイエットや美容の相談を得意とし、笑顔になれるカウンセリングに定評がある。テレビ新潟では、漢方コーナー「おしえて漢方」の出演経験も持つ。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら
カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店

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