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公開日:2025.08.14 281view

疲れすぎて眠れない?!夏の疲れ・不眠対策

漢方であなたを応援vol.41「夏の疲れ・不眠」

ぐっすり眠るためには栄養とエネルギーが必要だった!
猛暑、酷暑が続くようになった日本の夏、熱中症を防ぐために「冷房を適切に利用しましょう」という表現をあちらこちらで耳にします。夜間も気温が下がらず寝苦しい時は、冷房を使って眠るための快適な環境をつくる工夫をしていることでしょう。
それなのに眠れない・・・
「眠いのに眠れない」は疲れすぎて眠るための栄養とエネルギーが不足しているサインかもしれません。

眠るための栄養「血(けつ)」のチカラ
漢方では、人の身体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」で構成されると考えます。
 気・・・生命エネルギー、人体のさまざまな活動に必要なパワー
 血・・・赤い液体、いわゆる血液で全身に栄養と潤いを供給する
 水・・・血以外の水分、体液や分泌液など

特に「血」は、内臓や骨、皮膚や髪など形あるものに栄養を送ると同時に、視力や記憶力、意識や認識力など目に見えないものにも栄養を届けています。
眠っている間、私たちは意識がありません。漢方では、精神活動を担う「心(しん)の神明(しんめい)」が休憩をしているのが睡眠と考えます。
神明がしっかりと休憩するためには、心地よい環境とくつろぐための栄養が必要で、それが不足すると疲れて眠いのに眠れないということが起こります。

暑い中、汗を大量にかいた後などは「気」と「水」を消耗します。のどが渇き、疲れてぐったりするのはそのためです。「気」と「水」は「血」を作るのに必要な要素でもあるので、結果的に「血」も不足し冒頭の「眠いのに眠れない…」が起こるのです。

薬膳で血を補おう!
薬膳では赤色や黒色の食材が「血」を養うと考えます。
・クコの実、ナツメ、プルーン、ブルーベリーなどのドライフルーツ
・レバーやカツオなど赤身の肉や魚
・黒ごま、黒豆、黒米
・ひじき、わかめ、昆布などの海藻
これらを意識的に摂るようにしましょう。

さらに酸味と甘味を同時に摂ると、潤いを補えるという考え方があります。甘酸っぱい果物、ビネガードリンク、ご飯に梅干などで手軽に補えます。夏の代表的な料理、冷やし中華も実は甘酸っぱいですね。
酸味には汗が漏れ出るのを防ぐ働きがあり、甘味には元気を補う働きがあります。この点も夏の疲れ対策に有効です。

夏の消耗を防ぐ清暑益気湯
「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」は名前の通り、暑い日の熱を冷まして元気を補う漢方薬です。
ここにも酸味と甘味が活かされています。
元気を補う高麗人参(こうらいにんじん)と潤いを補う麦門冬(ばくもんどう)は甘味が特徴です。
酸味のある五味子(ごみし)は汗の漏れを防ぎます。

身体が本来持っているチカラを高める薬膳や漢方の智慧。上手に使って夏も元気に乗りきりましょう。

▽動画もcheck!
『気力も潤いも失う夏…その対策に使える漢方とは?』

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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