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公開日:2025.06.14 更新日:2025.06.141593view

梅雨に発生!グルグルめまいとジトジト関節痛

漢方であなたを応援vol.39「梅雨の漢方」

停滞前線に翻弄される体内の「気」と「水」
東アジア特有の長雨が続く季節、日本では梅雨と呼んでいます。
天気図では梅雨前線が列島を東西に横たわり停滞しますが、この停滞前線、赤い温暖前線と青い寒冷前線が互い違いでひとつになっているのにお気づきですか?中学の理科の時間に学んだのをうっすらと思い出している方もいるでしょう。

漢方では、「万物は陰と陽から成り立つ」という考え方があります。陰と陽は相対するもので、陰陽の調和は自然界や人体の正常な営みに欠かせません。
停滞前線は、いわば陰と陽が押しあいへしあいして留まっている状態。体内でも、エネルギーである「気」や潤いとなめらかな活動を担う「水」の停滞が起こると考えます。

「気」と「水」の停滞がもたらす不調
梅雨時季はさまざまな不調が私たちを襲います。その原因は停滞前線がもたらす降雨と、体内での「気」と「水」の滞りです。

「気」は人体の活動を担うエネルギー。内臓を動かす、体温を維持する、身体を守る、新陳代謝を担うなどなくてはならないものです。
「気」が滞ると、体内のさまざまな活動が鈍ります。

□やる気がわかない
□気分がうつうつする
□お腹が張って胃腸の動きが鈍る
□食欲にばらつきが起こる


「気」が巡らないと「水」の停滞が起こります。「水」は体内を流れる液体で、肌や粘膜を潤し、リンパ液や体液として全身を巡ります。不要なものを外に出す働きもあるので、例えば汗や尿、痰や鼻水なども含まれます。
体外の湿度が高くジメジメしている時、体内にも水たまりが発生しやすくなります。

□顔や手足などが強くむくむ
□全身が重だるい
□指の関節が曲がりにくい
□お腹がちゃぽちゃぽ鳴って吐き気がする
□グルグル回転性のめまいが起こる


「気」と「水」は胃腸を整えて巡らせよう
「気」と「水」は飲食物を胃腸が消化、吸収して取り込みます。胃腸が弱っている時には、「気」が不足して停滞しやすく、「水」もよどみやすくなります。
そこで大切なのは、胃腸の働きを助けてあげること。特に湿気がたまると胃腸の動きは鈍ります。活動に必要な「気」を補い、「水」を溜めない状態を整えましょう。

■水分は常温~温かいものを少量ずつこまめにとろう
水巡りによい南蛮毛茶(とうもろこしのひげ)、ハトムギ茶、小豆や黒豆茶などもおすすめ

■冷たいものを溜める時には温めるものも一緒にとろう
そうめんや蕎麦を食べる時に、ミョウガやネギ、シソを加える要領です

■豆は「気」を補い「水」を巡らせる優秀食材
そら豆やいんげん豆、枝豆もおすすめ

■お粥やスープで胃腸をいたわろう
消化しやすい料理をよく噛んで食べることが胃腸の負担を軽くします

グルグルめまいに「半夏白朮天麻湯」、ジトジト関節痛に「防己黄耆湯」
梅雨時季の不調改善に役立ち漢方薬も多数あります。
五苓散(ごれいさん)は、むくみや下痢、めまいや頭痛などさまざまな水の停滞症状に用います。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)は、水を巡らせるだけでなく消化を促進する生薬も配合されているので、胃腸が弱っている人の回転性めまい解消によく用いられます。
防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、疲れやすくて動くと汗が出て止まらない人のむくみや関節の痛みなどによく用いられます。

漢方薬は構成している生薬の組み合わせで働きが異なります。気になった方は漢方相談をしてみてはいかがでしょう。自分に合ったものを選んで梅雨も元気に乗り切りましょう。

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齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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