- 齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。
むくみに負けない!潤いキープでスッキリボディを作ろう
漢方であなたを応援vol.27「水とのつきあい方」
水とのつきあい方で身体が変わる?!
「水の惑星」と呼ばれる地球は、表面の7割を水が占めています。
水は動植物が生きる上で不可欠なもの、そして人の生活や健康にも多大な影響を与えるものです。
人体の約6割を占める水分。水とうまくつきあうことで、身体が変わります。必要な潤いをキープしながらも、スッキリボディを目指しましょう。
海に囲まれる日本、湿度が高い梅雨から夏、周囲の水に注意
日本は周囲を海に囲まれ、国土の7割を森林が占めている国。気候は温暖湿潤で、常に水が周囲にあるといっても過言ではありません。
そこに住まう日本人は、他の民族に比べて胃腸が弱く、水分代謝に不調を起こしやすい体質の人が多いようです。
1か月~1か月半続く梅雨は、年間雨量の1/4~1/5の雨が降ります。周囲に水が多くジメジメしていると、体内の水が抜けにくくベタベタとたまりがち。
この時期に水分代謝が低下すると、さまざまな水たまり症状があらわれます。
◆手足がむくむ
◆口が粘る
◆目やにや耳だれが多い
◆汗のべたつき、体臭が気になる
◆胃が重く吐き気がする
◆胃腸でちゃぽちゃぽ、ごろごろ音が鳴る
◆軟便下痢傾向
◆肌がベタベタ、ジュクジュクする
普段からこれらの症状がみられる方は、まず身の周りを清潔に保つことから始めましょう。
特に水がたまる場所、洗面所、浴室、トイレ、台所などの水回り、布団やパジャマなどの寝具はなるべく乾いた状態を保ちましょう。
外出で雨に濡れる、入浴後の濡れた髪の毛なども、早めに乾かすことが大切です。
きれいな水を入れて不要な水を抜く
体内に余分な水分がたまっている時、どうすればよいでしょう。
道路の側溝を掃除する時、まずドロドロしたゴミなどはスコップで取り除き、その後、新しい水を流してきれいにします。
体内に余分な水がたまっている時は、これと同じことをすればよいと考えてください。
スコップの役割はきのこ類や根菜類、こんにゃくなどの食物繊維が担います。そして新しい水を少量ずつこまめにとることで流れをつけます。
特に朝、目覚めた時の水分は、全身を潤して余分な水を抜くための水でもあります。おすすめは100cc程度の白湯。ゆっくり飲むことで、胃腸を温め動かす役割も担ってくれます。
普段から水分代謝の低下が気になる方は、食事の仕方にも工夫が必要です。
①豆類で水を巡らせる
塩ゆでした豆をサラダや野菜スープに加えるなどしてとりましょう。豆類には胃腸の元気を補う働きもあるので、湿度の高い時におすすめです。
②ウリ類で水を巡らせる
キュウリや冬瓜などのウリ類は潤いを補い水を巡らせます。冷やす傾向があるので、キュウリとお酢や紅ショウガ、冬瓜とエビなど温める食材との組み合わせがおすすめです。
③水分の多い果物は適度にとる
フレッシュな果物は水分が多く身体を潤しますが、とり過ぎると冷やしてむくみなどを引き起こすので要注意です。
④食事中はみそ汁やスープで水分をとる
食事中に水をがぶがぶ飲んでしまうと、胃液が薄まり消化しづらくなります。具と汁が同居したみそ汁やスープで口を湿らせながら食べましょう。
最後に、水分代謝が落ちてむくみが気になる時に押すとよいツボをご紹介します。
湧泉(ゆうせん)
足の裏で、土踏まずのやや上中央、足の5指を曲げるとくぼむところの中央にあるツボ。
全身の元気を補い「身体のエネルギーが泉のように湧き出す」ツボで全身の疲れを取り、水の巡りも含めて整えます。
中脘(ちゅうかん)
おへそとみぞおちの真ん中、おへそから指幅5本分上がったところにあるツボ。
胃腸の機能を整えるため、さまざまな消化器の症状や水分代謝の低下を改善します。
陰陵泉(いんりょうせん)
足の内くるぶしからすねを膝に向かってすり上げて行ったときに指の止まるくぼみ。
消化吸収を担う五臓の脾(ひ)を元気にして体内の余分な水分を取り除きます。
生活環境、食事、ツボなど、さまざまな角度から身体を整えて、湿度の高い梅雨から夏もスッキリすごしましょう。
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