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公開日:2024.06.07 更新日:2024.06.10484view

おにぎりで見つけた!漢方よもやま話

暮らしに潜む!漢方よもやま話 vol.1

皆様こんにちは。薬日本堂漢方スクール講師の山吹です。
このシリーズでは、日々の暮らしの中で気づかぬうちに広がっている「漢方の世界」を探訪していきます。
生活の中にさりげなく浸透している「漢方」に触れることで、養生を身近に感じていただければ嬉しく思います。

第1回は「おにぎりの中にある漢方の世界」について見ていきましょう。

おにぎりのルーツを探ってみたら…

せっかくなので、おにぎりのルーツをひも解いてみました。
これには諸説ありますが、最も古くは弥生時代まで遡ります。
「人間の指によって握られた炭化した米塊」が遺跡から見つかり、これが「最古のおにぎり」として知られました。
現代のおにぎりとは方式が違うものの人類は太古から、お米を握っていたのですね。

おにぎりは「鬼切り」 おむすびは「御結び」
「おにぎり」は「おむすび」ともよばれますが、それぞれの表現にも様々な由来があります。

まずは、おにぎり。
そのまま手で「にぎる」という意味の他にも「鬼切り」という魔除けの意味も込められています。
そして、おむすび。
日本神話に出てくる「産巣日神(むすびのかみ)」という農業の神様に由来するといわれています。
また、「御結び」という意味から縁起がよいものとされていました。



おにぎりは日本人のソウルフード
昔からお弁当に、残りご飯の保存にと重宝され、今やスーパーやコンビニ、飲食店のメニューでもよく見かけるほど親しまれているおにぎりは、日本人のソウルフードとも言えるでしょう。
そして、このおにぎりは漢方の視点で見てみると、更に面白いことが見えてきます。

梅干しのおにぎりは「酸甘化陰(さんかんかいん)」
漢方養生のひとつに「酸甘化陰(さんかんかいん)」という考え方があります。
これは、「酸味と甘味を一緒にとると潤いに変わる」という考え方で、身体を潤したいときの漢方養生の一つです。

そこで、梅干しのおにぎり!
おにぎりの具材の定番である梅干しは酸っぱいですね。一方、ご飯は?…糖分なので甘味です。
ご飯の中に梅干しが入ったおにぎりは、酸味と甘味コラボ!まさに「酸甘化陰」と言えるでしょう。

おにぎりの素材は、漢方薬にも使われている!

おにぎりの素材と言えば、ごはんと海苔。
そして具材では梅干しや昆布、塩鮭が定番といったところでしょうか。
実は、これらの中に効能を持つ生薬として漢方薬に入っているものがあります。

◆ごはん
玄米は、粳米(こうべい)という生薬です。
粳米は、生命のエネルギーである「気」を補う生薬で、疲労回復に力を発揮します。
「元気」の「気」のもとの文字は「氣」で、中に「米」という字が入っていました。
他にも、食欲不振や下痢、口の渇きにも応用できます。
 
◆梅干し
梅は、烏梅(うばい)という生薬です。
烏梅は、熟していない梅を燻製、または蒸してさらしたものです。
汗や便の出すぎを防ぐので、汗のかきすぎや下痢に応用されます。
夏バテのときに活用したい一品ですね。

◆昆布
生薬名も昆布です。
日本の漢方薬ではお目にかかりませんが、中国の漢方薬に登場します。
身体の塊をやわらかくするので、便秘や腫瘍に応用されます。
体の熱を冷まし、余分な水分をとるのでむくみの解消にも役立ちます。

いかがでしょう。
その時の体調によってもおにぎりの具材を選び分けることができそうです。
みなさんは、おにぎりの具材に何をお選びになりますか?

山吹 育恵
山吹 育恵 - Ikue Yamabuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

東北医科薬科大学を卒業後、病院勤務を経て1990年薬日本堂入社。 2011年までニホンドウ漢方ブティック仙台トラストシティ店で店長を務めた後、20年の臨床経験を活かし、漢方スクールの講師と社内相談員の学術支援に携わる。大自然の力に魅せられ、自然農の考えに触れたことをきっかけに15年前より自らも農業を実践中。

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