漢方ライフ読む(コラム一覧) > のぼせ・ほてり・汗~女性更年期と漢方薬~
公開日:2023.08.20 更新日:2024.01.101930view

のぼせ・ほてり・汗~女性更年期と漢方薬~

漢方薬のつぶやき vol.10

ホットフラッシュの原因は?
身体が急に熱くなって汗が噴き出す。落ち着いたと思っても、しばらくするとまた起こり、一日に何度か繰り返す人もいます。更年期の女性にみられるホットフラッシュと呼ばれる現象です。
さまざまな不調が起こる女性の更年期。その中で、のぼせ・ほてり・汗を特徴とした症状の原因と漢方薬をお伝えします。

のぼせ、顔や手足のほてり、急な熱感と汗を特徴とした更年期症状の原因は2つの要素が絡んでいます。
加齢とともに衰える腎と、それに伴う体温調節の乱れです。

生命のプロセスと腎
中国医学の古典『黄帝内経』に、「女性は7の倍数で身体が変化していく」と記述されています。この変化は生命のプロセスです。
人が生まれて生長し、充実したのち衰えていき、自然に帰る。この生命プロセスにもっとも影響するのが腎の力です。

腎は一般的には排尿や生殖に関するはたらきを担う内臓とされていますが、漢方ではそれだけでなく、人の生命力を蓄える臓と考えます。
腎のはたらきは、生長発育にかかわるエネルギーであり、呼吸、脳、骨、耳、髪にもかかわっています。

加齢とともに体力が落ちて疲れやくなる、目がかすみ、髪が抜けやすくなり、白髪が混じる、聴力の低下や耳鳴り、骨や歯が弱くなる、足腰のだるさ、記憶力の低下、物忘れ、これらは腎が衰えていくことで生じる変化です。

「冷やす機能」の低下で熱くなる
さらに腎は体温調節にも大いに関与しています。
身体には「温める機能」と「冷やす機能」があり、その陰陽バランスによって体温が保たれ、また体感として暑くもなく寒くもなく、環境の温度変化に適応することができます。

「温める機能」が低下すれば寒く感じ、機能低下が長期に渡れば冷え症の体質となります。逆に「冷やす機能」が低下すると暑く感じ、のぼせやほてりが起こる体質になります。
体温調節の要であり大元が腎のエネルギーです。

女性が閉経をむかえる「7×7」のターニングポイント。49歳前後は腎の力が衰え更年期のトラブルが発症しやすくなります。このとき陰陽バランスの崩れがあって、「冷やす機能」の低下が強く起こっている人に、のぼせ・ほてり・汗の症状があらわれます。

更年期の女性をサポートする杞菊地黄丸
このような不調に、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)という漢方薬が使われます。
杞菊地黄丸は、六味地黄丸(ろくみじおうがん)にクコの実と菊の花を加えた漢方薬です。

ベースの六味地黄丸は、腎に蓄えられている生命エネルギー「精」を補う処方です。疲れやすさ、腰痛、脚のだるさ、耳鳴り、聴力低下、めまい、物忘れ、排尿トラブルのほか、のぼせ、手足のほてり、口の渇き、不眠のある人に適しています。

クコの実と菊の花が追加されることで、「女性の先天」といわれる肝にも対応して更年期の身体をサポートし、眼精疲労、かすみ目、目の乾燥や充血、視力低下にも効果があります。

女性の更年期に多くみられるのぼせ・ほてり・汗は、腎の衰えと体温調節の乱れが原因で起こります。今回紹介した杞菊地黄丸は熱を冷ます性質の漢方薬ですので、冷えが強いタイプの人は別の漢方薬となります。
一言で更年期障害といっても、症状は人それぞれ異なりますので、漢方薬を服用する際は症状と体質に合わせて適切なものを選びましょう。

動画でも!「のぼせ・ほてり・汗~女性更年期に『杞菊地黄丸』」


飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

ページトップへ