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公開日:2023.04.15 更新日:2023.04.155245view

ぐっすり眠るために、三焦経のケアをして体内時計を整えよう!21-23時の過ごし方

漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方vol.13 <最終回>

眠れないのは私だけ?
厚生労働省が出している統計データでは、成人の30〜40%が不眠症であるといわれています。
慢性の不眠症は成人の約10%に見られ、原因は生活リズムの乱れ、冷え症、加齢、ストレス、精神・神経疾患、アルコール、薬剤の副作用など多岐にわたり、成人の約5%が不眠のため睡眠薬を服用しています。(e-ヘルスネット 厚生労働省)

「身体が冷えて眠れない」「明日の事を考えすぎて眠れない」「嫌な出来事(ストレス)が頭から離れなくて眠れない」など漢方薬局で相談を受けていると、不眠のお悩みを訴える方が多く見られます。不眠症は、誰しもが一度は悩んだことがある病気ではないでしょうか。

今回紹介する時間は、「亥(い)の刻」(21~23時)漢方では“三焦(さんしょう)”が担当する時間です。
漢方では、「“胆”が担当する子(ね)の刻(23-1時)までに眠りましょう」といわれます。
質のいい睡眠のための対策は、亥の刻までに行いましょう!
まずは21-23時(亥の刻)の担当である“三焦”の働きを見ていきましょう。

漢方で考える三焦の働き
●気と水の巡りを主る(つかさどる) (出典:黄帝内経・難経)
全身の気(エネルギー)・水を巡らせる働きがあります。
三焦に不調があるとむくみや排尿トラブルを生じます。

三焦はなんとも不思議な六腑の一つで「名はあるが、形がない」と言われ形や場所は様々な説があります。
六腑の一つであるほかに、五臓の位置を三つに分けて、「上焦(じょうしょう)・中焦(ちゅうしょう)・下焦(げしょう)」の「三焦」と表す考え方もあります。

それぞれの位置は、
●上焦・・・心・肺(横隔膜より上)
●中焦・・・脾・胃(横隔膜からへそまで)
●下焦・・・肝・腎(へそより下)

【三焦の働きを高める21-23時の過ごし方】
穏やかに過ごすのがポイントです。

①激しい運動は控え、深呼吸しよう:激しい運動は、呼吸が早くなり“心・肺(循環器・呼吸器)”に負荷がかかります。ストレッチ、ヨガ、瞑想、深呼吸をして心(こころ)・呼吸を落ち着かせましょう。

②飲食を控える:『深更に至りて食すべからず。消化せざる内に伏せば病となる』
『夜遅くの食事をしてはいけません、消化しないうちに眠ると病になる』と昔から言われています。(出典:養生訓)
眠る前に食事をして脾・胃(消化機能)が働く最中に眠っても、身体は休まりません。この時間帯は食べないのがBEST!食べる場合は脾胃に負担をかけない軽めのものをよく噛んで食べましょう。

③入ってくる情報の量を減らす:パソコンやスマホからの入る情報を減らして、目と耳を休ませて就寝の準備をしましょう。

④就寝する:亥の刻に眠ると“三焦”よって全身に気が巡り、陰陽の気がしかるべき位置に納まることで熟睡出来ると考えられています。

①~④が理想ですが、21~23時にゆっくり出来ない方も多いと思います。
ぐっすり眠るための対策として、手軽にできる三焦経のツボ・経絡ケアをお伝えします。

簡単!ぐっすり眠るための三焦経のツボ・経絡ケア 
“三焦”の気が通る経絡は、「手少陽三焦経(てしょうようさんしょうけい)」といいます。
薬指から出発し、腕の外側を上がり、肩を通って首の付け根で左右の流れと合流します。そこから首の付け根から背中にいき内部に入って三焦に降りていきます。また首の付け根を上がり、耳の後ろを沿って眉毛にまで流れ、目尻のこめかみ寄りから始まる次の足少陽胆経(あししょうようたんけい)に繋がる流れがあります。
三焦経の簡単なポイントは、「手の薬指~耳までの流れ」と「胆経へとつながる」の2点を覚えておきましょう!

【ぐっすり眠るための三焦経のツボ・経絡ケア】
赤ちゃんがすやすやと眠る前に、手足や耳がぽかぽかと温かくなっているのを見たことはあるでしょうか?
実は赤ちゃんの眠る前の体の変化が、老若男女問わずぐっすり眠るためのポイント!
眠る時に温かくなるのは、自律神経の働きで末梢血管が拡張し、血液が巡ることで体内部の熱を放出しているからです。手足から熱が逃げていくことで体の内部の温度が下がると熟睡できます。

●冷えて眠れない時は “陽池(ようち)”を押そう
冷えている人は一日を通して体温が上がりづらく、「体温を下げてはいけない!」と熱の放出を控えてしまいます。
その結果、寝る前の熱の放出、体温の変動が少なくなるために、寝つきが悪いなどの睡眠の不調が出てきます。

そんな時は、体の温かいエネルギー“陽気”を全身に巡らせる、三焦経のツボ“陽池”の出番です!
場所:手の甲側、手首をそらすとできる皺の中央より少し小指側にあります。刺激すると体の陽の気が巡って温まると言われます。
左右のツボを6秒ほど交互に10回押しましょう。またドライヤーで“陽池”に温風を当てると、簡単に刺激と温めが両方できておすすめです。

●ストレスに負けない!“胆”の鍛錬に、“三焦経”を刺激しよう

“胆”が弱ると、思考・決断する力(胆力)が弱り、優柔不断や心配性になります。その結果ストレスを感じやすく、考えすぎて眠れない、途中で目が覚めてしまうなどの睡眠の不調が出てきます。
詳しくは二回目体内時計コラムもご参照ください。
コラムを読む

“胆と三焦”は“少陽”という同じ名前もった経絡で同名経と言います。本来、胆が担当する子の刻(23-1時)は寝るべき時間帯ですが、胆の不調(不眠症や頭痛など)を治したり整えたい時は、同名経の時間帯に“胆や三焦”のツボを刺激することで対処することができます。

“胆”を鍛錬するには、亥の刻(21-23時)に“三焦経”の通り道に沿って、軽く叩いたりツボを刺激するのがおすすめ。薬指~首の付け根、首の付け根~耳の後ろの通り道を、下から上に軽くさすったり、叩いてほぐしていきましょう。

今回で「漢方と体内時計のコラム」は終了です。
毎日私たちの身体の中では、体内時計に則って臓腑が協力して働いています。時間帯ごとに担当する臓腑が働きやすくするのも、乱すのも私たちの生活次第です。体調不良が出やすい時間、不摂生をしてしまう時間には、時間帯毎のコラムを遡って参考にしてください。
体内時計と自然のリズムに従って、健康な時間を過ごしていきましょう!
毎月コラムを読んでいただきありがとうございました。

カガエカンポウブティック上野店 店長 荒毛克麻

<共著>

荒毛 克麻
荒毛 克麻 - Katsuma Arake

[カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長・薬日本堂漢方スクール講師]
自身の体調を崩した事をきっかけに、薬日本堂漢方スクールにて漢方を学び始める。養生・漢方の魅力を多くの方に伝えたい想いから、2012年薬日本堂に入社。現在はカガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長として、漢方相談を行いながら、スクール講師を務める。ダイエットや美容の相談を得意とし、笑顔になれるカウンセリングに定評がある。テレビ新潟では、漢方コーナー「おしえて漢方」の出演経験も持つ。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら
カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店

原口 徳子
原口 徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]

1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら

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