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公開日:2021.12.15 更新日:2021.12.153338view

不眠症の初期に多い、「気が高ぶって眠れない」

眠りと漢方~眠れぬ夜のために vol.2

精神・情緒の乱れから起こる不眠
楽しみにしていた旅がいよいよ出発という前日に興奮して眠れなかったことはありますか?
翌朝早く起きなければいけない…という緊張から眠れなかったこともあるかもしれません。

不眠症を引き起こす原因に興奮や緊張といった「情緒の乱れ」があります。
これにはさらに2つのタイプがあるのですが、今回はそのひとつ、不眠症の初期に多くみられる「気が高ぶって眠れない」タイプについてお伝えします。

活動と休息のスイッチが切り替わらない
この「気が高ぶる」という状態を漢方ではどう読み解くと思いますか?

答えは、そのままのことなのです。
漢方理論の気血水論では、身体は気・血・水で構成されていると考えます。
そのひとつ「気」の流れが滞ることにより、気が頭部に上昇して眠れなくなります。
気の滞りが「気が高ぶって眠れない」原因です。

このタイプの不眠の特徴は、
・いつも就寝する時刻なのに“眠くならない“。
・疲れているはずなのに、目が冴えて元気に感じる。
・ひどいと一睡もできない。
・入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害の分類では「入眠障害」としてあらわれる。
・体質や体調に関係なく興奮と緊張があれば誰にでも起こりうる。

気の高ぶりにより、活動と休息のスイッチが切り替わらないイメージです。

眠れないのは陰陽バランスの崩れ
漢方理論の陰陽論では、身体の生理的なバランスや生活にも陰陽があると説きます。
活動が陽、休息は陰。一日の時間の流れでは昼が陽、夜は陰です。

陰の時間である夜に“眠り”という休息が起こることは自然なことで、身体の生理的なバランスとしてスイッチが自然と切り替わるはずです。
ですから、夜になっても気が高ぶって眠れないのは陰陽バランスの崩れといえます。

「気が高ぶって眠れない」タイプの不眠の改善方法は、気の流れを整えて、陰陽のスイッチが切り替わるようにすることがポイントになります。

次回、養生についてお話しします。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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