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公開日:2021.04.05 更新日:2021.07.152706view

薬食同源~春は桜花の塩漬けで気分をあげて~

季節を感じて気軽に薬膳 vol.1

薬膳は気軽に始めても大丈夫
漢方スクール講師の齋藤です。
4月からは心機一転、季節を感じられる植物や食材の手軽な活用方法を、二十四節気に合わせてご紹介します。

薬膳というと、漢方薬のような苦いイメージや、高価な食材を使うイメージがあるかもしれません。
本来は、季節や体調に合わせて食材を選んで調理し、食べ方の工夫をすることです。
まずは「これいいな、やってみようかな」と思えるものから、気軽に始めてみましょう。

桜花を目と舌で楽しむ
春分3月20日から清明4月4日にかけて、全国で桜が開花し、さらに多くの花々が咲き誇る時期です。
万物が清らかで新しい氣(き)に満ちています。春分以前は、自然界の活動が陰から陽に移る時期で気温も不安定ですが、清明を越える今頃は、昼の時間が少しずつのびて暖かく、気温も安定してきます。

近年、「エディブルフラワー」といって、食べられる花が多く出回るようになりました。
桜花の塩漬けは、昔の人が考えた、花を食べる方法のひとつかもしれません。
桜花を自分で塩漬けにするのは難しいかもしれませんが、市販されているものを使って春を楽しむことが出来ます。
 
おすすめは、桜花の塩漬けを混ぜたおにぎりです。
お花見に持っていくと、目でも舌でも楽しめます。思うようにお花見が出来なかった方も、お弁当にして、お花見気分を味わってはいかがでしょう。

白粥をキャンパスに見立てて、さっと茹でたチンゲン菜や菜花と桜花の塩漬けを添えると、食卓が華やかになって気分があがります。
生活習慣に変化が起こりやすい春は、肝気が高ぶり、消化吸収を担う脾(ひ)をいじめてしまいがち。彩を加えたお粥で胃腸をいたわりましょう。

桜が解毒の漢方薬に!
中国では、桜の花と葉には咳をやわらげ、解毒する働きがあるとされています。
最近では、乾燥させた桜葉を紅茶や緑茶、ほうじ茶に加えたブレンドをみかけるようになりました。

生薬として漢方薬に配合されているのは、桜の樹皮です。
名前を桜皮(おうひ)といい、こちらも熱をさまして解毒する働きがあります。
江戸時代の外科医、華岡青洲(はなおかせいしゅう)が考案したといわれる十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)という漢方薬に配合されており、急性の湿疹や蕁麻疹などに使われます。
 
身近な植物が薬にも食材にもなる薬食同源の世界。
これから二十四節気に合わせて紹介しますので、楽しく取り入れていただけると幸いです。




齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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