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公開日:2021.04.10 更新日:2021.04.144231view

春の食欲不振に「山芋と春キャベツのスープ」

家族の薬膳 〜家族を守るママの養生 Vol.17〜

食欲低下の春
だいぶ暖かくなりましたが、まだ寒暖の差があり、毎日の服装に困ることがありませんか?
外出を控え、自宅で過ごす時間が長くなったので、気候に合った服装を選ぶ勘もにぶっている気がします。

春の服装の養生は、上半身は薄着でも下半身は冷やさないことが大切です。
上半身は着脱可能な服装にし、ストールを一枚持って朝晩の冷え込みに備えましょう。

春はまた、陽気が盛んになり、肝の気が旺盛になりやすい季節です。
肝の気が盛んになりすぎると、血圧上昇、めまい、目の充血などの不調や、消化を担う脾の力が弱りやすくなります。
「お腹の調子が悪いなあ」「お腹が空いていないな」と感じたら、食事の量を減らしたり、時間をずらして、自身の体調に合わせることも食養生のひとつです。

食べないことも養生のひとつ
寿命50歳といわれた江戸時代に、84歳の天寿を全うした儒学者である貝原益軒(かいばらえっけん)が書いた健康指南書『養生訓(ようじょうくん)』に、こんな一説があります。(部分抜粋)

「朝食がまだ消化できていないときは、昼食をとってはいけません。点心(茶菓子)などを食べてはいけません。昼食がまだ消化できていないときは、夕食をとってはいけません。前の晩の食事がまだ滞っていたら、翌朝の食事をしてはいけません。あるいは量を半分にして、酒や肉をとらないようにします。およそ食事による傷害を治すには、飲食をしないのがいちばんよいのです。(以下省略)」

家族で過ごしていると、一人だけ食べないのは難しいかもしれません。
また仕事の予定で、食べるならこの時間しかないという状況もあるでしょう。
可能な範囲で調整して、弱りやすい脾の養生をしましょう。

消化をいたわる養生スープ

今回の薬膳は、弱った脾をいたわりつつ、エネルギー補給にもなる「山芋と春キャベツのスープ」をご紹介します。
山芋は山薬(さんやく)という生薬として、漢方薬で使われるほど、養生に適した食材です。
今回は、食欲のない時でも、食べやすいスープにして頂きます。

【材料】
・山芋:1/2本(約150g)
・春キャベツ:小ぶり1/4個(約150g)
・卵:1個
・水:500cc
・コンソメ顆粒:45g
・塩:少々

【作り方】
①山芋は皮をむいて半月切りにする。キャベツはザク切りにする。卵は溶いておく。
②鍋に水と山芋を入れ火にかける。煮たったらキャベツ、コンソメ顆粒を入れ、2分程中火で火を通し、塩で味を調える。
③再度火を強くして、煮たったら溶き卵を回し入れ、火を止め、器によそい完成。

【食材メモ】
山芋:脾の機能を高め、食欲不振や下痢を改善する。脾肺腎の気血水を補う。
キャベツ:胃の働きを助け、食欲増進や胃もたれに良い。虚弱体質や、疲れをいやす。

付け合わせに、大葉とトマトのサラダ

付け合わせは、気の巡りを良くして胃腸の働きを助ける大葉とトマトのサラダにしました。

脾が弱る原因になる肝の高ぶりを、鎮めることも春の食養生のポイントです。
トマトやクレソンは、肝を平静に保つ働きがあるので、副菜としてお勧めです。

「子供の薬膳」「家族の薬膳」と、ご紹介してきたコラムは、今回が最終回です。
忙しいママでも作りやすい簡単薬膳をご紹介してきましたが、お役に立てていたら幸いです。

今後は、インスタグラムで更新させて頂こうと考えております。よろしければ、フォローをお願い致します。
■Instagram URL
https://www.instagram.com/ikumeshi2017

長い間、ありがとうございました。
皆様の体調管理のお供として、薬膳をお役立て頂けますように。



市川 三弓
市川 三弓 - Miyumi Ichikawa

漢方スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、ハーバルセラピスト、フードコーディネーター。一児の母。自身の体調不良をきっかけに漢方・薬膳を学ぶ。肉親の病も薬膳でサポートし克服。飲食店舗での薬膳イベント開催や薬日本堂でのセミナー講師を経て、現在は子供向けの薬膳を日々研鑽中。

◎レシピ協力
『薬日本堂の漢方で体をととのえる穀菜食』(主婦の友社)
『はじめての漢方ライフ 薬膳レシピ&食材べんり帳』(主婦の友社)
◎子供のご飯記録:https://www.instagram.com/ikumeshi2017

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