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2019.11.20661view

五行のつながりは自然の営みであり薬膳にも応用される

黄帝と一緒に『素問』を学ぶvol.9

季節の移り変わりと木火土金水

11月も後半を迎え、各地で紅葉の便りが聞こえてきました。私たちは何気なく四季の移ろいを感受しています。
『素問』を読むと、古代の人々の自然観察の力がいかんなく発揮されているのがよくわかります。ここでは、ありとあらゆる生命(いのち)は、自然、宇宙のエネルギーである「天の気」「陰陽の気」が作用してできたものだと考えられています。そして【春夏秋冬】の四季、【木火土金水】の五運(五行)、【風火暑湿燥寒】の六気として、人体に影響をおよぼしているとされています。

『素問』では五運が順々に主役を交代して巡ることで、四季も順を追って移り変わり、それに伴って六気が次々に作用していくとしています。
つまりこの順番が大切なのです。

春に木の性質を持つものたちが力を発揮します。春一番が吹き、動植物が活動を始め、のびやかに過ごす季節です。同様に、夏には火の性質を持つもの、秋には金の性質をもつもの、冬には水の性質をもつものが主役となります。
この順序が乱れると異常気象が発生し、人は病を得ることになるというのです。

木火土金水の順序と病

五運の関係性には、木→火→土→金→水という順番で次のものを生む相生(そうせい)関係と、
木→土→水→火→金という順番で次のものを抑える相克(そうこく)関係があります。

※画像の太線が『相生関係』、点線が『相克関係』です。

相克関係に異常があると人体も病を生じるのですが、岐伯によれば、影響の受け方で重症度が違うというのです。
水への影響を例にとると、水を抑える土の勢いが想定以上に大きかった場合、病は甚大になります。逆に、本来は水が火の勢いを抑えるはずなのに逆転した場合、火から水への影響はさほど大きくないので病は比較的軽くなります。

五行の薬膳への応用

自然のつながりをあらわす五行配当表には、五色【青赤黄白黒】や五味【酸苦甘辛鹹】なども振り分けられています。
大地にあふれる食材の五味は、口を通じて体内に入り、胃腸で消化吸収されて五臓【肝心脾肺腎】を養います。この時も、酸味は肝、苦味は心、甘味は脾、辛味は肺、鹹味(かんみ=塩味)は腎とつながりがあると考えます。

薬膳ではこの五味を応用して体調管理をすることができます。例えば五臓の脾は消化吸収の役割を担っているので、胃腸が弱っている時や食欲が落ちている時には甘味のある穀類や豆、いも類を消化しやすい形に調理します。お粥やスープなどがよいでしょう。
これからの季節、かぜや鼻炎、咳などの症状が起こりやすくなります。この場合、呼吸を担う肺につながる辛味を上手に使います。例えば、お味噌汁にねぎを刻んだものをたっぷり加え、温かい紅茶に生姜のしぼり汁とハチミツを加えるなどするのはどうでしょう。

色も同じです。精気を蓄える腎の強化は歴代の中国皇帝も重視してきました。それに役立つ食材の色は黒。黒米や黒豆、昆布やひじきなどを常備したくなりませんか?

ただし、どんなものでも偏りは禁物です。まずは五味と五色、バリエーションに富んだ食材を盛り込むことが五臓六腑を整え、健康につながると考えてみましょう。

齋藤 友香理 - Yukari Saito
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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