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公開日:2019.11.01 更新日:2020.05.155183view

今から始める冬の寒さ対策~冷えの対応法~

プチ不調は自分でカイゼン Vol.7

末端冷え性と冷えのぼせ!?

冷えと言っても、冬の寒さに弱いタイプから、末端冷え性、冷えのぼせなど症状は様々です。

エネルギー不足(気虚:ききょ)タイプの方は、全身が冷えて肌着が1枚多い、体温が低い、お腹が冷えて下痢しやすい、トイレが近いなどの症状があらわれます。
漢方では、人参湯(にんじんとう)小建中湯(しょうけんちゅうとう)八味地黄丸(はちみじおうがん)などが使われます。

血不足(血虚:けっきょ)タイプ
の方は、末端冷え性で靴下を重ねて履いてもなかなか温まらない、手足のしびれ、足がつりやすいなどの症状があらわれます。
漢方では、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが使われます。

血行不良(瘀血:おけつ)タイプの方は、冷えのぼせ、婦人科の痛み、シミや目の下のクマが気になるなどの症状があらわれます。
漢方では、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)温経湯(うんけいとう)などが使われます。

※ここで紹介した漢方薬は、あくまでも代表的なものです。参考までに止めていただき、実際利用する場合は専門の方に相談してくださいね。

冷えの簡単養生法

漢方で寒さ(寒邪)は、気血の流れを悪くし冷えを悪化させるとともに、痛みやこわばりを引き起こしやすくなると考えます。お風呂に入って温まると症状が軽減するような症状は、寒邪の影響を受けていると考えましょう。どのタイプにもおススメの養生法を紹介します。

●3首(首、手首、足首)を温める!
特に首の背中側は、寒気の入り口と言われています。濡れた髪のままでいるとカゼを引きやすいと言われているのは、この場所を冷やしてしまうからかもしれませんね。
冬の外出時は、3首をしっかりガードしましょう。
女性は3首にプラスして、腰回りを徹底して冷やさない対策をお願いします。

●温飲を徹底する!
冷たいものは一切口にしない!くらいの意識をしましょう。お酒好きの方もホットでお願いします。
また、辛みはお腹を温め代謝促進に有効です。ここでいう辛みは、生姜、ネギ、シソ、シナモンなどです。薬味を上手に使うことが大切ですね。

●毛管運動
仰向けに寝て、手足をまっすぐ上に上げます。その状態で手足を小刻みに震わせるだけです。
はじめは、20~30秒、慣れてきたら1分くらい行うと効果的です。
冷え性、こむらがえり、下肢静脈瘤、足のむくみなどにおススメです!

よもぎで冷え対策

日本では、餅や団子に使われているよもぎは、とても身近な薬草ですね。

漢方でも艾葉(がいよう)と言う名前で知られ、「艾」とは「疾(やまい)を艾する(止める)」の意味であるとされています。
お灸のもぐさや入浴剤でも使われるマルチ素材ですね。

よもぎは、"温"の性質を持ち、体を温め、痛みを止め、気血のめぐりを良くする働きがあります。
また、味では"辛・苦"の性質を持ち、寒気を取り去り、気血のめぐりを改善し、身体の悪いもの(邪)を排泄する働きがあります。

ここでは、よもぎを使ったブレンド茶を紹介します。
お腹を温めて、冷えや冷えからくる痛みに良いとされています。

材料
よもぎ 6g
生姜  2切れ
黒砂糖 適量(お好み)

作り方
よもぎと生姜を水500mlに入れて弱火で5分ほど煎じ、黒砂糖を入れて温かいうちに飲む
※ティーポットに材料を入れ、熱湯を注ぎ蒸らす方法でも大丈夫です。

よもぎが余ったら入浴剤として活用しましょう。薬酒にするのもおススメですよ。
是非お試しください。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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