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公開日:2019.08.01 更新日:2020.05.1516590view

胃腸は湿気が大嫌い~消化力を高める!~

プチ不調は自分でカイゼン Vol.4

食後眠くてだるいは胃腸からのサイン!?

胃腸が行う消化吸収は、漢方では五臓の【脾(ひ)】の働きにあたります。
脾の働きが弱ってしまうと、消化不良や食欲不振、胃もたれ、下痢などが起こります。
夏バテで毎年この時期に、このような症状で悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

脾は、食べたものをエネルギーに変えてくれる“元気”製造所です。
例えるなら、蒸気機関車の、石炭を投げ入れその燃焼から蒸気というパワーを作り出している場所にあたります。
脾は、元気製造の妨げになる“冷え”と“湿気”が大嫌いです。
冷えてしまうと消化がうまく進まず、下痢になり、湿気が多くあっても消化は進まず、身体がだるく、食後とても眠くなったりします。雨の日に調子が悪くなる人も湿気に弱ので、脾が弱いタイプになります。

参照【自分を知る五臓チェック

昔から、「いくら暑くてもおなかだけは冷やすな」、とおばあちゃんの知恵で言われるのも、うなずけますね。

また、ストレスによる暴飲暴食や偏食、寝る前の飲食や早食いは脾がオーバーヒートしてしまします。お腹の張り、げっぷ、胸やけや口臭、口内炎の原因になり、お腹が減るとイライラするようになります。

【脾】の調子を整える簡単養生法

冷え、湿気、ストレス・・様々な要素で不安定になりやすい脾の管理はとても重要です。
どのタイプにもおススメの養生を2つ紹介しましょう。

●よく噛む
唾液は脾の働きを助けてくれる名薬です。1口30回!!を意識して食事をしてみましょう。
人間の歯並びを考えてみると、全体の6割は臼歯です。人間に必要な6割の栄養は臼歯を使って食べるものから摂ると考えることができます。臼歯を使って食べるのは米類・芋類・豆類など。
これをよく噛んで食べることが、脾の強化につながります。

●飲食をしない時間を10時間以上取る
1日は24時間で、大きく陰陽で分類すると、12時間の動いて食べる時間と、12時間の休んで食べない時間に分けられます。睡眠時間も含めて最低10時間は、何も口にせず身体を休める時間を作りましょう。特に寝る直前の飲食は、脾にかなりの負担をあたえます。ちょっとお腹が減ったなと思うくらいで寝るのがちょうどいいですね。

クマザサで胃もたれ対策

クマザサとは、日本の高原地帯、北海道の山野で主に生息し、先がとがった細長い葉が特徴の植物です。冬を越し葉が枯れるころに、周囲が白くふちどられることから、歌舞伎役者の「隈取り」になぞらえて「隈笹」と言われたのがはじまりです。
古来よりクマザサ(熊笹、隈笹)は、握り飯やお寿司など、魚の鮮度を保つ包材として広く利用されてきました。冷蔵庫のない時代に、クマザサには防腐・抗菌効果があることを、昔の人々は知っていて、上手に生活に取り入れていました。
また、クマザサは、胃腸病、高血圧、喘息や風邪の時には煎じて飲み、すり傷や火傷、虫刺されなどには笹を熱抽出したエキスを塗るなどして、民間療法としても広く利用されてきました。

一般には、胃もたれのときにお茶として飲まれています。消化を促進し口臭や体臭の予防、口内炎や歯槽膿漏などに応用して使われています。

成分は、クロロフィル(葉緑素)や食物繊維、鉄、カルシウム、ビタミンC、K、B1、B2などで、抗菌・消炎作用、抗酸化作用、解毒作用などが期待されます。

比較的手に入りやすいお茶です。生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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