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2019.08.101666view

残暑疲れ・秋の呼吸器トラブルに“蓮”のチカラ

「七十二候」の旬を愉しむ季節の養生 vol.2

お盆に供える花、蓮(ハス)

暦の上では立秋となりますが、まだまだ秋というには残暑が厳しい季節です。お盆には故郷に帰省される方も多いのではないでしょうか。
さて、お盆に供える花として蓮があります。インドが原産の蓮は、仏教と深く関りがあり、その清らかさから仏教では天上に咲く花と言われています。
このシリーズでは、古来の暦である「七十二候」をヒントに季節に育まれる旬の恵と、身体とのかかわりについて辿っています。今回はこの蓮に注目してみましょう。

蓮始開(はすはじめてひらく)小暑‐次候

七十二候で蓮が登場するのは七月のお盆の頃です。蓮はこの頃から開花を迎え八月中旬頃まで見頃となりますが、その後は私たちの身体を養う旬の食材として大いに役立ちます。花が咲き終わると、花の中心部にあるハチの巣状の花托(かたく)だけが残り、その穴の中にある若い実が日に日に大きく成長してきます。この熟した蓮の実は、皮をむいて生のまま食したり、煮物や炒め物などの食材として幅広く使うことができるのです。
更に、蓮の花が咲いていた池の底では、その地下茎が成長を続け、お馴染みの蓮根(れんこん)として秋に収穫され旬の食材となります。

残暑時期から秋の不調に蓮が活躍

食用として食べることができる蓮の実は、乾燥させたものを、「蓮子(れんし)」といい、漢方薬の生薬としても使われています。
蓮子は、「元気を補う」「漏れを防ぐ」「下痢を止める」「イライラや不眠を和らげる」などの働きがあり、次のような症状に応用されています。

・不正出血や頻尿に
・慢性の下痢や虚弱体質に…ナツメや人参と一緒に
・動悸や不眠に…竜眼肉と一緒に

注)お腹が張るときや便秘の時は控えましょう。

動悸や不眠、下痢など、蓮の実は猛暑疲れの身体を癒してくれる食材となりそうです。

蓮根は蓮の根と書きますが、蓮の茎です。蓮根の穴は空気を通すための通気管の役割をしています。
薬膳では似たものはその部分を補うという考え方があります。蓮根は空気の通り道である気管支に似ているといわれます。実際、その働きにおいても、五臓の「肺」の熱を冷まし潤すことで喉の渇きや痛み、咳、痰の切れをよくする食材と漢方では考えられています。
乾いた空気が鼻や咽、気管などの負担となる秋には大変役立つ食材といえるでしょう。

蓮の実の中にある緑色の芯の部分を「蓮子芯(れんししん)」といい、熱を冷ますはたらきがあり、ほてりやイラつきを伴う不眠に用いられます。また、実を育てる果托の部分は「蓮房(れんぼう)」といい、血流を良くし、出血にも効果的です。さらに、蓮の葉、「荷葉(かよう)」は、むくみや肥満に使われています。蓮は、葉も茎も実も幅広く活かせる植物です。

ハスの実とレンコンで秋バテ回復!
ハスの実やレンコンを使って残暑を乗り切り秋の体調を整えていきましょう。

ハスの実とレンコンの炊き込みご飯
≪材料(4人分)≫
ハスの実(乾燥)…大さじ2
レンコン…50g
白米…2合
油揚げ…1枚
昆布…5㎝
酒・しょうゆ…小さじ2
塩…小さじ2/3

≪作り方≫
① 一晩、水につけたハスの実を半分に割り、中の芯を取り除いておく。(芯は使わない)
② レンコンは皮をむき、薄いいちょう切りにして、水にさらす。
③ 炊飯器に研いだ米と昆布、いつもの水の量を入れて30分くらい浸しておく。
④ ③に①と②、細かく切った油揚げ、酒、しょうゆ、塩を入れて炊く。

レンコンの節は藕節(ぐうせつ)といい血流をよくしたり、止血に用いられる生薬として使われます。
捨てないでみじん切りにしてみそ汁などに入れて食べてもよいでしょう。

山吹 育恵 - Ikue Yamabuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
東北医科薬科大学を卒業後、病院勤務を経て1990年薬日本堂入社。 2011年までニホンドウ漢方ブティック仙台トラストシティ店で店長を務めた後、20年の臨床経験を活かし、漢方スクールの講師と社内相談員の学術支援に携わる。大自然の力に魅せられ、自然農の考えに触れたことをきっかけに15年前より自らも農業を実践中。

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