大腸の乾燥を防いで便秘予防「紅玉と胡桃のジャム」

薬膳常備菜Vol.29

乾燥する秋に必要な潤い

すっかり秋が深まりつつあるこの頃。大型の台風に見舞われるなど、今年は気候の変動が激しいようです。
10月も半ばになれば、そんな台風シーズンもひと段落。
からりとした秋晴れの日が多くなり、スポーツや旅行などを楽しみたくなりますね。

でも、爽やかな秋は、女性にとって要注意シーズンの始まり。
そう、これから本格的な乾燥の季節がスタートします。
たとえば肌。涼しくなってくると、洗顔や水仕事でお湯を使う頻度が高まります。
油断してクリームを塗り忘れていたら、指先が乾燥して早くも肌荒れに……なんていう人もいるのでは？　
これこそ、この時期の大きな特徴。秋になると自然界は「乾燥」を帯び、それが体に侵入すると、「燥邪（そうじゃ）」となってさまざまなトラブルを引き起こすのです。

皮膚や髪の毛の乾燥は、目に見える変化なので早めにケアができると思います。
でも、秋の乾燥は、目に見えない体の内側にも侵入しているからご用心。
特に意識したいのが、大腸の水分不足による乾燥便秘です。

秋の味覚、リンゴは皮まで使うことでさらなる整腸作用が！

乾燥の秋になると、お通じの不調を感じる人が増えてきます。ふだんはスッキリ出るのに「軽い便秘かな？」「便の量が減ったかな？」と感じることはありませんか？　それは大腸が乾燥してきた証し。おいしい薬膳常備菜で、大腸の乾燥対策を行ってください。

今回の薬膳常備菜は、旬のリンゴを使った「紅玉と胡桃のジャム」。みずみずしいリンゴには胃腸の調子を整える作用があり、健康なお通じの助けになります。
ポイントは皮まで使うこと。リンゴの皮にはペクチンという水溶性食物繊維が入っているので、捨てずに皮まで食べることで、一層の整腸作用を期待できるのです。皮は、ミキサーでペースト状にしてから煮るのがおすすめ。煮ていくうちに紅玉リンゴの鮮やかな色に染まるので、見た目も美しいなジャムになります。

リンゴと一緒に煮るのは、体を温める作用があり、美容食材としても人気の胡桃。胡桃などのナッツ類には、適度な油脂が含まれ、腸内の便の運行を助ける働きがあるとされています。煮あがったら、仕上げに干しぶどうとシナモンパウダーをプラス。血を補う干しぶどうと、温め作用のあるシナモンを加えることで、肌の潤いや血色UPの効果も期待できるでしょう。

東洋医学には、「酸甘化陰（さんかんかいん）」という言葉があり、甘味と酸味を組み合わせると「陰（＝潤い）」が生まれると考えられています。甘酸っぱい紅玉リンゴのジャムは、まさに「酸甘化陰」の常備菜。
パンにつけるだけでなく、チーズとあわせてオードブルにしたり、紅茶に入れてフルーツティーにしたり、いろいろな楽しみ方で味わってみてください。

【材料】（作りやすい分量）
・紅玉リンゴ…3個
　(紅玉は酸味が多め、水分が少なめのため、今回のジャムに適しています）
・胡桃…20ｇ
・干しぶどう…15g
・レモン…1個
・グラニュー糖…25g
・シナモンパウダー…少々

【作り方】
①リンゴはよく洗ってから6等分して皮をむく（皮は捨てない）。芯をとったら薄切りにする。
②ミキサーにリンゴの皮とレモンの搾り汁を入れ、攪拌してペースト状にする。
③鍋に①、②、グラニュー糖を入れてよく混ぜ、弱火にかける。
④沸騰したら粗く刻んだ胡桃を加え、リンゴが透き通って柔らかくなるまで煮る。
⑤最後に干しぶどう、シナモンを加えてひと煮立ちさせたら出来上がり。

【食材メモ】
・リンゴ：潤いを与え、体にこもった熱を取り除く。胃腸の調子を整える。
・胡桃：体を温める力「腎陽」を補う。腰痛、耳鳴り、肌の老化など、老化予防に。
　慢性の咳、喘息、便秘にもおすすめ。
･シナモン：体を温めて冷えを防ぐ。冷えからくる腹痛や生理痛対策に。

フレンチトーストにトッピング。とってもおしゃれな朝食になりました。
乳製品や卵も潤いを補う食材なので、この時期にぴったりのメニューに。