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2018.09.201472view
使うところに気は流れる~身体を動かし元気を循環させる

気の省エネ生活 vol.15

このコラム“気の省エネ生活”では、気を養うだけでなく損なわないという視点も持ちながら私達の身体と養生について見つめ直しています。
そもそも活動することは気の消耗を伴うものです。では元気を保つためには出来るだけ動かずじっとしていることが望ましいかというともちろんそうではありません。
貝原益軒の『養生訓』には「動と静との養生」というテーマで次のように記載されています。

ひとの身体は気をもって生命の根源、つまり命の主人としている。それゆえに、養生をよくするひとはつねに元気を惜しんでへらさないようにする。静かにして元気をたもち、ほどよく動いて元気を循環させる。たもつことと循環することの二つがともに備わっていないと気を養うことは困難である。時に応じて動と静とを実行することが気を養う道である。
(養生訓 全現代語訳 訳:伊藤友信 講談社学術文庫)


気を保つことと循環することの2つがともに備わって、気を養うことであると述べています。

長時間同じ姿勢を続けない

座る時間の長さと健康への影響について特集した番組を見たことがあります。座り過ぎが健康へのリスクを高めることの科学的な検証を進めているある国では、小学校で高さ調節可能な机を導入し立って授業を受けられるようにしていました。日本は番組で調査した数か国(先進国)の中では座って過ごす時間が長い方であると指摘され、立ち姿勢でパソコン操作が出来るデスクを導入している国内企業が紹介されていました。

ひとの心は、つねに平静でなければならない。それに反して身体はいつも動かしているのがよい。終日(一日中)安座していると病気にかかりやすい。長いあいだ立ったり、長時間歩いたりすることよりは、長時間寝ていたり、座っているほうが、大いに害になるものだ。
【貝原益軒 『養生訓』より】


座りっぱなし、立ちっぱなし、どのような状態でも同じ姿勢が続くと気血の流れが滞りやすくなりま
す。出来れば1時間に1回、少なくとも2時間に1回は立ち上がる、歩いてみる、横になるなどして
体勢を変えて気血を巡らせるよう心掛けましょう。

部分ではなく全体を動かす動養生を

動物は一般的には人間よりも病気に対する抵抗力や治癒力は高いと考えられます。気功の先生が興味深いことを話されていました。
「動物は一部分だけを動かすのではなく全身で動く。人間は身体の一部分だけを動かす。」
これは身体の動かし方と気血の流れ、病気に対する抵抗力の関係についての話です。人間は身体の一部分だけを動かすことが出来ますが、それゆえ気血の流れが滞りやすく、結果として正気(病気に対抗する生命力)の低下を招きやすいということです。
パソコンに向かって手首から先だけ動かすことで、肩がこり、目が疲れるように、現代社会では生活の中で身体の一部分しか動かさない場面が多いのではないかと思います。

古人は詠歌や舞踏をして血脈を養い血行をよくした。詠歌は歌を唱うことだし、舞踏は手で舞い足で踏むことである。みな心を和らげ、身体を動かし、気を循環させて身体を養う。まさに養生の道である。今日、導引や按摩をして気を循環させるようなものである。
【貝原益軒 『養生訓』より】


歌う、踊る、舞う、どれも全身を使った動きですね。“導引”とは身体の動きと呼吸の2つを結合した運動養生を指し現代では気功や太極拳などがそれにあたると考えられます。
もっと身近で実践しやすいものとしては“ストレッチ”をお勧めします。ストレッチをする際には息を止めないようにすることが大切です。身体の動きに合わせてゆっくりと呼吸をしながらおこなうことで気血が巡ります。

身体は使わないところの気は流れにくくなります。同じ姿勢で長時間過ごさないように気をつけることと、一日数回適度に身体全体を動かすことを心掛けたいですね。
静かにして元気を保ち、ほどよく動いて元気を循環させる。時に応じて動と静とを実行することが気を養う道となります。

飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]
静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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