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公開日:2022.03.10 更新日:2024.03.144426view

変化の大きい春に用心!めまいの原因と対策

季節の不調と漢方相談vol.10

私の体験~季節の変わり目や環境の変化に注意
長野店の店長、寺川です。初めに私自身の体験談を簡単にお伝えします。

およそ6年前の3月。福岡から長野に転勤した時のことです。
福岡では梅が咲いて、「いよいよ春」という時季に、極寒の長野に来た訳ですから、春から冬に逆戻りしました。

暫くしてから、常に船に乗っているようなふわふわとしためまい感が続きました。
一時的なものだろうと様子をみていましたが、1か月以上も続くので不安もさらに大きくなりました。

環境の急激な変化によって、もともと自然界の一部である人間の身体に、少なからず負荷がかかってしまったのかもしれません。
しかも新しい環境で慣れない業務もあり、エネルギーを消耗したことが原因だったのでしょう。

幸いなことに、仕事柄普段から身近に和漢薬などがありましたので、それらを服用することで3週間ほどで軽減し、その後は繰り返すことなく現在に至っております。
もともと健康には自信があっただけにこの経験は私にとっても貴重なものであり、「一病息災」と言われるように常に身体をいたわることの大切さを再認識しました。

大きな気温差、気圧の変化などが自律神経の乱れの原因に
3月は冬の寒さと春の陽気が混在し、社会的にも環境の変化が大きい時季です。
そのため、花粉症だけでなく、めまい、ふらつき、頭痛など、自律神経の乱れによる症状のご相談が多くなります。

また、エアコンをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれませんが、体温を一定に保つためには大きなエネルギーを消耗するため、倦怠感、気力の低下などを伴うことも少なくありません。

近年、「気象病」という言葉を聞く機会が多くなりました。
毎年のような異常気象で、季節に不相応な気候が心身に及ぼす影響が無視できません。
そこで、これらの症状の対策についてお伝えします。

対策は「補う」と同時に「巡りを良くする」こと
漢方には「気血水」と「五臓六腑」という二つの概念があります。

「気血水」とは身体を動かすエネルギーや栄養などのことで、本来はこれらの量が充実していて、しかも滞りなく巡っています。
「五臓六腑」とは漢方医学における内臓全般のことで、それぞれのバランスが保たれていることが健康を維持する上で大切です。

この時季のめまいは、「気血水」では「気血」の不足や「水」の滞り、「五臓六腑」では「気」の巡りや情緒を担う「肝」の失調などがその原因となることが多いです。
そこで対策としては「気血」を補う食材のレバー、ほうれん草、黒豆などを、「肝」には「気血」を巡らせる春菊、柑橘類などを摂るとよいでしょう。

また、自律神経を整える目的で簡単な「呼吸法」や、ぬるめのお風呂での「半身浴」などを実践することもお勧めです。
呼吸は、3秒で鼻から吸って、2秒止めて、15秒かけて口からゆっくり吐くというもの。
この20秒を1セットとして5~6回取り組むとよいでしょう。
和漢素材の入浴剤を使うと、香りで癒され、内側からしっかり巡ります。

足の小指の先端に「小指尖(しょうしせん)」というツボがあり、ここを刺激する方法もあります。

これらを実践することで「気血水」を巡らせて、回復しやすい状態を作りつつ、改善を早めるための和漢薬などの服用をして、来年の同じ時期に症状を繰り返さないお身体にしていくことが大切です。

めまいの原因にはここで紹介したもの以外も考えられますし、何より個人差があり、その他の症状を伴っている場合がありますので、我々のような専門の相談員にお気軽にご相談ください。

寺川 敏且 TERAKAWA TOSHIKATSU 
[薬日本堂長野店 店長]
富山医科薬科大学(現;富山大学薬学部)卒業後、薬日本堂入社。長野店店長として、信越、北陸、九州、関西など多方面からの相談に応じている。およそ28年の相談員経験を活かし社内では若手相談員の教育にも携わっている。
薬日本堂 長野店

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