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公開日:2021.12.25 更新日:2021.12.252426view

「気が高ぶって眠れない」タイプの養生

眠りと漢方~眠れぬ夜のために vol.3

3つのポイントで陰陽スイッチを切り替える
前回、「気が高ぶって眠れない」タイプの特徴と漢方の考え方をお伝えしました。
今回はその続き、このタイプの養生についてお伝えします。

漢方の気血水論でみると、「気が高ぶって眠れない」原因は気の滞りです。
その仕組みは・・・
興奮・緊張・精神的ストレスなどによって、気の流れが滞り、気の滞りから熱が発生します。
熱は上昇するので、気と熱が一緒に上昇して頭部に滞留すると、眠れなくなります!

仕組みがよくわからなくても大丈夫です。改善方法はシンプル。
ポイントは3つあります。
・気の流れを整えること。
・頭部に上昇した「気」を下げること。
・頭部にこもった「余分な熱」を冷ますこと。

これにより、活動から休息へと陰陽のスイッチが切り替わり、身体が眠りに入りやすくなります。

「頭寒足熱」で気を鎮め、熱を冷ます
日中の活動で生じた興奮や緊張による気の高ぶりを鎮め、余分な熱を冷ますには、身体を「頭寒足熱」の状態にするとよいです。
手軽に「頭寒足熱」に導ける方法は、入浴とそのあとのストレッチです。

入浴はシャワーで済ませず、湯舟につかりましょう。
肩までつかるとういうよりは半身浴がおすすめです。
半身浴や足浴で下半身を温めると気の高ぶりが鎮まり、頭部にこもった余分な熱が放出されやすくなります。

そして、入浴後はストレッチ・気功・ヨガなどゆったりと静かな運動をおこなってください。
深く呼吸をするように意識しましょう。
気の流れを整えるとともに疲労回復にもつながります。

起きる時刻を一定にしてリズムを整える
起床時刻を一定にするのは不眠症改善の鉄則です。
身体の生理機能は「気」の流れによって営まれているため、生活が不規則だと気の流れは乱れやすくなります。

季節によって就寝と起床の時刻が多少変化するのは自然なことですが、不眠改善のためには、眠れないからといって起床時刻が大きく変動するのは避けたいです。
起床時刻をある程度一定に保ち、生活リズムを整えましょう。

「気が高ぶって眠れない」タイプの不眠は一時的であれば心配ないのですが、興奮や緊張が継続したり、出来事が気になって考え続けたり、イライラするようになると一時的な不眠が慢性的な「不眠症」へと発展することがあります。

「気が高ぶって眠れない」状態が2週間以上続くようなら注意です。
早めの対処が大切ということですね。
忙しくても、自分の身体と向き合い、ケアするための時間をぜひつくりましょう。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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