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公開日:2021.07.20 更新日:2021.07.203362view

デザートだけじゃない!夏の暑さと渇きを癒すスイカ

季節を感じて気軽に薬膳 vol.8

強い日差しが照りつけてくる「大暑」
二十四節気の大暑、梅雨が明け、太陽の強い日差しが肌を焼き、水分と体力を奪っていきます。

真夏の最も暑いこの時期は、帽子や日傘で直射日光を避け、こまめに水分補給をしましょう。
室温を適切に設定することも大切です。
屋外の日射病だけでなく、屋内での熱中症にも注意して、蒸し暑いこの夏も乗り切りたいですね。

天然の白虎湯、スイカ
熱中症でもみられる発熱やほてり、のどの渇き、多汗などを解消する漢方薬として、「白虎湯(びゃっことう)」があります。
ギブスの材料でもある石膏(せっこう)が配合されており、強い熱冷ましの効果がある処方です。

食材の中で「天然の白虎湯」と称されているのが夏の果物であるスイカ。
漢字で西瓜と書くスイカは、南アフリカのサバンナや砂漠地域原産のウリ科の果物です。
つる性の植物で、乾いた地面を這うように育つため、たくさんの水分を蓄えています。

スイカは体内の熱を強く冷ますため、夏のほてった身体を癒してくれます。
さらに、たまった水を取り除く働きもあるため、むくみや排尿トラブルにも有効。

スイカを煮詰めて作るスイカ糖は、昔から腎臓病や高血圧、膀胱炎が起こりやすい方の予防に用いられてきました。
しかも、スイカの果肉は90%以上が水分なので、暑さで消耗した水分を補充するのにもうってつけの食材です。
すぐに食べられるように、一口サイズに切って冷蔵庫に入れておくと便利です。

スイカの皮(白い果肉)もおいしく食べよう!
スイカの赤くて甘い果肉は、夏の渇きを癒すデザートですが、普段は皮として残してしまう白い果肉の部分もおいしく食べられるのはご存知でしょうか?

薬膳では「西瓜翠衣(せいかすいい)」と呼んでいて、赤い果肉と同様の働きがあります。
よく知られているのは浅漬けでしょうか。
外側にある黒緑のかたい皮は少し厚めにむきます。
白い果肉を塩もみして、好みに応じてお酢やごま油を加えてしばらく置けば出来上がりです。

私が好んで作るのは、スイカの皮の炒め物です。
冬瓜よりも歯ごたえがあります。

作り方は至ってシンプル。
今回はシンプルに豚肉と炒め、フェンネルで香りづけしました。
フェンネルは茴香(ういきょう)といい、胃腸の調子を整える生薬です。

夏バテ防止にもおすすめ。
黒きくらげやぶなしめじ、薄切りの人参などをあわせて、中華風にアレンジするのもおいしいので、ぜひお試しください。

【材料】2人分
スイカの白い果肉 スイカ8分の1個分
豚バラ肉 150g
フェンネル 小さじ2分の1
油 大さじ1
塩・胡椒 少々
醤油 小さじ1

【作り方】
①スイカのかたい皮は少し厚めにむき、白い果肉を短冊切りにして軽く塩もみしておく。
②フライパンに油をひき、フェンネルを加えて熱したら一口大に切った豚肉を炒める。
③軽く塩・胡椒してからスイカを加えて炒める。
④火が通ったら醤油を回しかける。

【薬膳食材メモ】
スイカの白い果肉(西瓜翠衣):熱を冷まし身体を潤す。利尿効果も高い
フェンネル(茴香):お腹を温め胃腸を整える




齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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