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公開日:2021.05.15 更新日:2021.05.153816view

何を診ているの?舌の観察ポイント

舌は口ほどに物を言う ~舌診の話 Vol.2

舌は何色ですか?
漢方スクールの漢方養生指導士養成講座【中級コース】では、舌診の授業があります。
ひととおり舌診について説明したあと、受講生様にご自身の舌について診て頂きます。
そのとき、こんなやりとりがしばしばあります。

私 : 「舌質(ぜっしつ)は何色ですか?」
受講生様 : 「黄色です!」
私 : 「舌質に黄色は無いですよ~(笑)」

舌の何を診ているのか
受講生様は何の色を診ていたのでしょうか。
舌診で観察する項目を整理したのがこちらです。

舌はまず大きく2つの部分を診ます。
それは舌本体と苔です。

舌本体のことを「舌質(ぜっしつ)」、苔は「舌苔(ぜったい)」といいます。
呼び方はともかく、舌本体とその上についている苔を診るのだと思ってください。

さらに、舌本体では「色」と「形」と「動き」を、苔では「色」と「質」を診ます。
“舌の色“と一言でいっても、「舌本体の色」と「苔の色」があります。

先ほどの受講生様が黄色とお答えになったのは苔の色を診ていたのです。
舌質が黄色だとびっくりしますね。

「舌本体の色」は赤に決まっているのでは?と思われるかもしれません。
確かに血管が多い部位ですので赤く見えます。

でもよく診ると淡い赤、濃い赤、白っぽい、青白いなどの違いがあります。
この違いは自分の舌だけを診ているとわかりにくいので、家族や友人の舌を見せてもらえるようでしたら、ぜひ見比べてみてください。色合いの違いがわかります。

「舌の形」とは、舌が大きいか小さいか、歯の痕(あと)やひび割れの有無などを診ます。
「舌の動き」とは、滑らかに動くかまっすぐ出てくるかなどです。

「苔の色」は、おもに白と黄色があり、「苔の質」とは、苔が多いか少ないか、潤っているか乾いているかなどを診ます。

舌は身体の状態と変化を映し出す鏡
観察するポイントがたくさんありますね。
慣れると自分できちんと診ることが出来ますので大丈夫です!

この段階では、先ほどの黒板に書かれている項目を診るのだということを知りましょう。
体質や体調の違いが舌診の各項目に現れます。

舌は、経絡(けいらく)と呼ばれる気の通り道によって五臓六腑とつながっており、それゆえ五臓六腑の状態と、身体を構成している要素である気血水の状態が舌に現れます。

舌という小さな部位に、身体全体の状態が反応として現れるのです。




飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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