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公開日:2021.05.20 更新日:2023.12.064730view

赤色と辛味の働きで血を巡らせる「紅花醤油」

季節を感じて気軽に薬膳 vol.4

地上の生命エネルギーが満ちる「小満」
二十四節気の小満、私たちの身体と心にもエネルギーが満ちていきます。

七十二候では、この時期に絹糸をはく蚕(かいこ)が青々と茂った桑の葉を食べ、布地を染めるための紅花が咲き誇るのだと、うたっています。

夏は、心身に満ちたエネルギーをためこまないことが大切です。
身体を動かし、何事にもポジティブにほがらかに取り組みたいですね。

血を巡らせ活動を助ける紅花
紅花というと、頭から髪の毛がツンツンと立っているようなフォルムが特徴です。
意外と知られていないのは、赤くて細いあの1本1本が花であること。
逆に身近なのは、紅花の種を絞った油を紅花油、サフラワー油として活用していることでしょう。

漢方では紅花を「こうか」と呼んでいます。
血行を良くする働きがあるので、月経痛など婦人科の悩みや、顔色が暗くシミが目立つような時に用いられます。
温めて痛みをとることから、腰痛や関節痛など痛みが気になる時にもおすすめの和漢素材です。
くすり湯として入浴剤にも配合されているので、ご存知の方も多いでしょう。

紅花は薬膳でも応用されます。
これからの季節、冷房で冷えてしまった時や血行不良で痛みを感じた時には、紅茶にひとつまみの紅花を加えるとよいでしょう。
独特な香りがあるので、多く入れすぎないように注意してください。
また、妊娠中の方(妊娠の可能性がある方)や、出血過多の時には使うのを控えましょう。

抜群の風味が特徴の紅花醤油
作り置きすると便利なのが、今回紹介する紅花醤油。
辛味とコクを増してくれる生姜とニンニクは、紅花と同じく身体を温めて血行を良くする和漢素材です。
辛味には、気血を巡らせる働きと、かぜを予防・改善する働きがあります。

炒め物や煮物の味付け、刺身醤油としても使えますが、おすすめはチキンソテーのソースとしての使い方。
漬けておいた生姜とニンニクを刻み、紅花醤油とみりん大さじ1ずつを合わせ、鶏肉の両面を焼いた最後にザッとかけるだけ。ぜひお試しください。

【材料】
醤油 100cc
生姜 3cm角程度
ニンニク 1~2片
紅花 小さじ1

【作り方】
①生姜とニンニクを少し厚めにスライスする。
②蓋つきのガラス瓶に①と紅花を入れ、醬油を注ぐ。
③冷蔵庫で保存し、翌日から使用可能。

※1か月を目安に使い切ってください。ニンニクの辛味が苦手な方は、スライスせずに使うとよいでしょう。

【薬膳食材メモ】
紅花:血の滞りを解消し、血行をよくする(妊娠中は禁忌)
生姜:発汗の働きでかぜを予防する
ニンニク:お腹を温め、冷えによる痛みを解消する




齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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