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2019.07.201090view

季節の風と体調不良~五行配当の不思議

黄帝と一緒に『素問』を学ぶvol.5

あなたの不調、いつ起こる?

湿気の多い梅雨、ひどいむくみや軟便、めまいなどに悩まされる方もいるのではないでしょうか?友人と話していても「春だから調子が悪くて…」「私は冬が苦手」など、人によって苦手な季節が異なるようです。
黄帝内経素問 第四篇「金匱真言論」で黄帝は、「季節の風」について岐伯に問いかけています。ちなみに「金匱」とは金で作った箱、「真言」はまことの道理をあらわしていて、この篇は「特別な箱におさめるべき大切な内容」と考えられています。

五行配当~自然と人体のつながり

漢方には五行という考え方があります。自然界にある「木」「火」「土」「金」「水」という5つの要素を代表に、人体や自然界の物質や営みなど、多種多様なものを関連づけるものです。例えば、季節や色、方角なども分類しています。

五行配当表(抜粋)

五行
五臓
五色
五季土用
(季節の変わり目)
五方中央西
五邪湿

この表から、季節によってどの風が人体のどこに影響するかがわかります。

五臓を攻撃する5つの風

春は東風が吹き、肝(自律神経や代謝、運動の働き)を傷めます。特に頭部が攻撃されるので、春は鼻づまりの症状や鼻血が出やすくなります。確かに春は、カゼや花粉症による鼻水や鼻づまりで苦しめられる方が多いようです。

夏は南風が吹き、心(心臓の拍動や血流、意識)を傷めます。特に胸部が攻撃されるので、胸苦しくなりがちです。暑い日に胸のあたりがモヤモヤして、寝苦しいことがあるのもこの関係でしょう。

夏の土用は中央に位置しています。だいたい7月20日頃をさしますが、この時季は湿度が高く、脾(消化吸収の働き)を傷めます。蒸し暑く、冷たい飲み物を摂る機会が増えるので、おなかが冷えて下痢をしやすくなります。

秋は西風が吹き、肺(呼吸や皮膚など体表を守る働き)を傷めます。特に肩から背中が攻撃されるので、ゾクゾクとした悪寒と発熱を繰り返すような症状があらわれます。

冬は北風が吹き、腎(泌尿器や生長・生殖を担う働き)を傷めます。手足の強い冷えが生じ、関節痛などが起こりやすくなります。冷えてトイレが近くなるのもこの関係でしょう。
まずこれら5つの風による不調を認識して、衣類やマスク、帽子などで体表を守りましょう。

五臓を傷める邪気(じゃき)

黄帝内経では次の第五篇でもさらに、季節に対応して体に悪影響を及ぼす五邪(ごじゃ)についても言及しています。五邪とは気候の変化で、過不足や季節との不相応によって生じます。

春は風邪(ふうじゃ)の影響でふらつきやめまいがおこります。
夏は暑邪(しょじゃ)による赤みや腫れものが目立ちます。
夏の土用は湿邪(しつじゃ)による下痢やむくみが生じます。
秋は燥邪(そうじゃ)によって体中の潤いが消耗して乾燥します。
冬は寒邪(かんじゃ)によって手足が縮こまり、血流とともに水の流れも滞ってむくみます。

これから夏本番を迎える私たちは、湿度対策と暑さ対策が必要だと『黄帝内経』が教えてくれています。
湿度対策として、寝具や部屋の除湿を心がけましょう。風を通すことが有効です。暑さ対策として、こまめな水分補給と積極的な夏野菜の活用が有効です。
漢方養生の智慧で快適な夏をすごしてくださいね。

齋藤 友香理 - Yukari Saito
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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