心・体・呼吸をあわせる妊活　〜パートナーと整える三陰のツボ〜

漢方で妊活応援！パートナーと深める性養生vol.5

ふたりの呼吸を合わせる-気のリズムを調える
こんにちは。漢方スクール講師・カウンセラーの荒毛です。
前回同様に、ふれあうことによる妊活養生をお話しします。

古代中国医学での房中術では、性行為は単なる生殖の為だけではなく、
陰と陽の気を調える養生法として発展しました。
『黄帝内経・素問』にも、「陰陽和合により、天地の気が通じてこそ生命が生まれる」
陰陽和合（性行為）によって気が通じて新しい生命が生まれると記載があります。

ここでいう「天地」とは「男・女」とも読み取れますし、
天の気（呼吸から得られる気）と地の気（飲食から得られる気）の融合として解釈すると
パートナーと、呼吸や食事を共にして調えることが大事とも言えます。

ゆったり呼吸を合わせて食事をとる・・・そんな時間をパートナーと持てているでしょうか。

房中術でも、気功でも、「調息（呼吸を調える）」は何よりも大切にしています。
私たちは、普段意識しなくても息（呼吸）をしていますが、
意識して息を深くしたり、パートナーの息遣いを感じて、リズムを合わせていくことは日頃からできる養生としておすすめ。
息は「自分の心」とも書きます。息がととのうと、心の波が静まり、相手への感覚も研ぎ澄まされていきます。
互いに手を取り、息遣いを感じ、ゆるやかにととのえること。その穏やかなリズムこそが、陰陽の調和を導く第一歩です。

呼吸のリズムを合わせて、ふたりでふれあう養生
前回は手のふれあいをお話ししました。
今回は足です！足の内側を通る脾経・肝経・腎経は、男女ともに生殖と深く関わる“三陰”の要です。
その経路上にある三陰交（さんいんこう）、血海（けっかい）、陰廉（いんれん）は、いずれも気・血をめぐらせ、心身を整える代表的なツボ。
足の内側を下から上へ、経絡に沿って下から上にゆっくり温めるように撫でてみましょう。
ポイントは、ツボ～ツボをゆっくりと（5秒くらい）、ベロアの生地をなでるようにやわらかなタッチで触れましょう。

ツボ解説：
◉三陰交（さんいんこう）・・・内くるぶしの上から指幅4本分上のところ
　月経不順、難産、おりもの、勃起不全、むくみや冷え性など

◉血海（けっかい）・・・膝の皿の内側上端から親指幅2本分上
　月経不順、月経痛、不正出血、湿疹、皮膚掻痒感など

◉陰廉（いんれん）・・・ふとももの内側、足の付け根から下に指幅2本分のところ
　月経不調、不妊症、腰痛、勃起不全など

【やり方】
①三陰交のまわりを5秒ほど優しく撫でさすり、その後血海に向けて優しく撫でていく
②血海のまわりを5秒ほど優しく撫でさすり、その後陰廉に向けて優しく撫でていく
③陰廉のまわりを5秒ほど優しく撫でさする

お互いに呼吸・息遣い、手のひら全体で気の流れを感じましょう。
ツボの周りを刺激されたときには、パートナーの手の温もりを十分に感じていただくと良いです。
またセルフマッサージもおすすめ！一人でマッサージをするときにも、自分の呼吸・息遣い、手のひらからの感触に意識を集中しましょう！

潤いをもって触れる-思いやりの気づき
皮膚の乾燥は、思わぬ刺激や摩擦を生み、気の流れを乱すことがあります。
触れる前に、保湿クリームや植物性オイルを少量手に取りましょう。
手の温度で温めてから肌に触れると、摩擦を避けながら気の通りをなめらかに導けます。
潤いを介して触れること・・・それは、相手を思いやる心そのものです。

ふたりの気が通うとき、生命は育まれます。
房中術の教えは、古代の性愛術だけではなく、命を養うための哲学です。
手をつなぐ、笑い合う、食事をともにする・・・それらもすべて房中の一部。

ふたりの気が通うとき、生命は静かに、しかし確かに芽吹きます。
そしてそれは“授かるための行為”だけでなく、“ふたりの気を育むため”。
ふたりの気が整ったとき、新たな生命の種が静かに芽生えていきます。
次回は、古代中国の性愛術　房中術を交えて妊活のお話をしていきます。お楽しみに。