- 齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。
美と健康の強い味方!お粥生活のススメ
漢方であなたを応援vol.45「お粥で美養生」
療養食、回復食だけではないお粥の底力
体調がすぐれず食欲がわかない時、やさしくいたわってくれる療養食、回復食がお粥です。
実は療養、回復だけにとどまらないのがお粥のすごいところ。五臓の負担を軽くして、健康増進や美容、ダイエットにも有効なのです。
〇やわらかく炊くことで胃腸への負担が軽く、消化を助ける効果がある
〇あたたかく食べることで、体を温めて血行促進にもつながる
〇水分を多く含み、水分補給の役割も担う
〇少量の穀類から作るので、カロリーや糖質を押さえてダイエットにつながる

NHKのドラマ「しあわせは食べて寝て待て」でも紹介されていましたが、禅宗の伝え「粥有十利(しゅうゆうじり)」にある通り、お粥には十の利点があります。
冬であれば、体を温めて血行を促進、肌の色つやもが良くなり、かぜの予防も出来る!
年末年始、食べ過ぎてしまったら、しばらくお粥生活にしてみましょう。胸やけや胃の張りを解消し、排便を促して、体をすっきり、楽にしてくれます。
もっちり黒粥で五臓の腎をいたわる
先日、ワンデイセミナーでお粥のお話をした時に紹介したのが黒粥です。
薬膳では、黒色の食材は生命力を貯蔵する五臓の腎を養うと考えます。つまり、エイジングケア、ウェルエイジングに良いということ。
今回はひじきと黒米で黒の全粥にしました。

<材料>
乾燥ひじき 大さじ1
黒米 大さじ4
米 1/2合
黒ごま 大さじ1
だしの素 小さじ1 (鶏がらスープの素やうどんスープなどでも良いし、入れなくてもOK)
好みで塩少々
<作り方>
①ひじき、黒米と米は一晩浸水する(時間がなければ一時間でもOK)
②水気を切った①を炊飯器に入れ、水1リットル(1合のお粥に必要な水の目盛まで)を加えてお粥モードで炊く
黒米特有のもっちりした食感で、少量のお米でも満足感が得られるお粥です。
黒豆を加えたり、ひじきの代わりに黒きくらげの細切りでも美味しく仕上がります。
自分流にアレンジ可能なお粥
お粥の良い点は、自分流にアレンジ出来るところです。
基本的には土鍋を用いてじっくり炊くのがおすすめですが、今は、炊飯器で美味しく炊くことができます。
水の量を変えることで、療養食から健康食まで幅広く担うこともできます。
≪水分量と粥の呼び名≫
全粥(五倍粥) 米:水=1:5 米の形がある程度残る、やわらかいご飯のような状態で食べ応えがある
七分粥 米:水=1:7 全粥よりやわらかく、病気の回復期や朝食にも良い
五分粥 米:水=1:10 粥と重湯が半々で、舌でつぶせるくらいのやわらかさ
三分粥 米:水=1:20 粥と重湯が3:7になり、胃腸が弱っている時によい
重湯(おもゆ) 三分粥から米を取り除いた液体部分で流動食として介護や療養に適している
さらに具材の工夫で幾通りにもアレンジが可能です。
方法は2つ。
お粥を炊く時に豆や芋、野菜などを一緒に加える方法と、炊いた後のお粥に、具材を添える方法。
春に菜の花、夏にトマトを炊き込む。湿気の多い梅雨時季はハトムギ、乾燥する秋には松の実を添える。
寒い冬は当時の小豆かぼちゃをアレンジした小豆とかぼちゃのお粥など。
季節ごとに食材を変えて楽しめるのも、お粥の醍醐味です。
いかがです?お粥、食べたくなってきませんか?
2026年は、お粥で美養生しましょう!
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