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公開日:2018.09.10 更新日:2020.05.199948view

「食べる玉ねぎドレッシング」で「心」を養う

薬膳常備菜Vol.28

猛暑のあとは「心」を養う

歴史的猛暑となった今年の夏。冷房が苦手な方も、今年ばかりはエアコンのお世話になる日が多かったのではないでしょうか。
この夏は、暑さに加えて台風やゲリラ豪雨といった雨の被害も甚大でした。暑さと、湿気が交互にやってくることで、体調を崩された方もいらっしゃるでしょう。
そんな過酷な季節も、ようやくひと段落。過ごしやすくなってきたタイミングで、夏の消耗をしっかり回復させておきたいですね。

薬膳のもとにある東洋医学では、夏の暑さと関連が深い臓腑は「心(しん)」であるとされています。「心」は心臓の心であり、精神の安寧、つまり〝こころ〟と関わる臓腑。猛暑の夏は、心拍数が多くなり、心の機能が活発になりすぎるため、心の機能が消耗しやすくなるのです。動悸がしたり、胸が苦しくなったり、夜なかなか寝付けなくなるといった症状は、心の不調と関連があるかもしれません。

さらに、台風の多かったこの夏は、湿気の影響も大。湿気は消化機能を担う「脾(ひ)」を傷つける存在で、脾が弱ると、消化不良や食欲不振、下痢や軟便、下半身の冷えやむくみといった水分代謝の失調をきたします。
いかがですか? 振り返ってみると、思い当たる症状があったのではないでしょうか。

気を巡らせ「心」を元気にする玉ねぎ

暑さと湿気で、「心」「脾」に大きな負担がかかった夏。そんな夏が過ぎた今、食べるべき食材は何なのでしょう。
おすすめしたいのは「玉ねぎ」です。薬膳では、玉ねぎは気の巡りを助ける食材の代表格。中でも魅力的なのは、その効果が、五臓の脾・胃・心・肺と、多くの臓腑に働く点です。

心を養う作用は、現代栄養学でも立証済み。玉ねぎの辛み成分である硫化アリルには、新陳代謝を助けるとともに血液をサラサラにする作用があることがわかっており、生活習慣病の予防に勧められています。

薬膳では、消化機能を担う脾・胃の働きをサポートすると考えられていて、湿気の影響で調子を崩しがちなおなかの状態を健やかに。さらに、秋からの乾燥に弱い肺のケアにも効果的ということですから、まさに、この時期にぴったりの食材といえるでしょう。

今月の薬膳常備菜は、そんな玉ねぎをたっぷりすりおろして作る「食べる玉ねぎドレッシング」。加熱せず、生のまま作るドレッシングなので、熱に弱い硫化アリルの効能が失われにくくいのが特長です。
まずは、玉ねぎだけで作ってみて、味に変化をつけたくなったら、にんじんやハーブなどを加え、カラフルな手作りドレッシングを楽しんでください。
冷蔵庫なら1週間ほど保存でき、時間がたつほど味がなじんでおいしくなります。サラダだけでなく、さまざまな料理のソースにも使えますから、ぜひお試しを!

【材料】(作りやすい分量)
・玉ねぎ(小)…1個
・塩…小さじ1
・オリーブ油…40ml
・リンゴ酢…20ml

【作り方】
①玉ねぎは皮をむき、芯をとってすりおろす。
②ボウルに①とオリーブオイル、塩を入れて混ぜ、リンゴ酢を加えてよく混ぜる。保存容器に入れて冷蔵保存。
※写真の(赤)は、にんじんのすりおろしを加えたもの、(緑)はパクチーのみじん切りを加えたものです。

【食材メモ】
・たまねぎ:気の巡りをよくし、消化機能を健康に保つ。食べ過ぎによる胃もたれにも。気血動行により、血の巡りもサポート。
・酢:血の巡りを助ける。胃の働きを助け、食欲不振、消化不良にも効果的。

健康のためにおすすめしたいのが、納豆に加える食べ方。
納豆と玉ねぎ、いずれも血液サラサラ食材なので、相乗効果が期待できます。味の相性も抜群です。

岡尾 知子
岡尾 知子 - Tomoko Okao

漢方養生指導士(漢方上級スタイリスト)、国際中医師、国際薬膳師、鍼灸師。美容・健康をテーマに美容・健康エディターとして仕事をする中で東洋医学に関心をもち、漢方、中医学、薬膳を学ぶ。雑誌やラジオ、イベントなどを通じて、美容と健康のための薬膳や養生についての啓発活動を行う。はり師・きゅう師の国家試験に合格し、鍼灸師として東京の「池袋ひりゅう鍼灸院」で臨床にあたっている。詳しい情報は「LOTUS(ロータス)薬膳教室」「薬膳ノート」で検索を!

◎薬膳教室:「TUMUGU東京青山」http://www.tumugu-aoyama.jp/

◎HP:「薬膳ノート」http://www.yakuzennote.com

◎ブログ「Eat & Run! 岡尾 知子の美・薬膳な日々」http://ameblo.jp/yakuzen-navi/

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