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2016.06.152296view
「ボクのおいしいお薬ください!」 ~小建中湯(しょうけんちゅうとう)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.13

小さなお子さんが喜んで飲んでくれる「おいしい薬」があることをご存知ですか?

【漢方薬のイメージは...】
 多くの方にとって漢方薬のイメージは「苦くてまずい薬」「即効性がない」「植物中心でおだやか」というイメージから、大人の不定愁訴、生活習慣病などの慢性疾患に使うものと思われているようです。最近になってやっと、カゼの初期に服用して悪化させない葛根湯(かっこんとう)や、足がつった時などに飲む芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)など、即効性のある漢方薬について知られるようになってきました。

 「漢方は未病を癒す」という言葉があります。未病とは病気未満の状態で、「気になる不調はあるけれど病院に行くのはちょっと…」というもの。これを漢方は、漢方薬だけでなく養生という生活改善の視点で立て直していきます。病気の予防ができるといっても過言ではないでしょう。

【お子様処方あります】
 虚弱体質、おねしょ、夜泣きとくれば、お子様の不調であることが想像できます。実はこのような時も漢方薬は活躍します。「小さい子供が漢方薬を飲めるのか?!」と心配される方もいるでしょう。

 店舗で相談員をしていた時のこと。5歳の男の子がお母様と連れ立って相談にいらっしゃいました。お腹が冷えやすく、冷たいものでお腹をこわし、寒いとおねしょをしてしまうというご相談でした。顔色は白く、年齢の割に小柄です。しょぼんとしているのでお声かけすると、「電車は楽しかったけれど、歩いたら疲れちゃった」とおっしゃります。そこで小建中湯(しょうけんちゅうとう)という漢方薬をまずは3日分ご用意しました。やはり小さなお子さん、お母様も飲めるかどうか不安でしょうから、少なめの日数で飲めるかどうか試していただきます。

 お薬がなくなる日、今度はお父様がお見えになり、半月分を購入されました。きちんと飲めていて驚いたそうです。小建中湯は、食材でもあり生薬でもある生姜やシナモン、ナツメが入っている処方。さらに膠飴(こうい)という麦芽飴が加えられているので、とっても甘くておいしいのです。しかもお腹をあたためて、元気を養う働きもあるので、気になる体調もきっと良くなるはず。

 半月後に男の子が来店した時には、元気よく「ボクのおいしいお薬ください!」とお願いされ、その場にいた皆が幸せな気分になったのを覚えています。

 他にも、疳が強い傾向で皮膚症状が出ている時に使う柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)や、神経が過敏で驚きやすい小児の夜泣きやひきつけに使う甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)など、お子様の不調に対応する漢方薬はいろいろあります。「こんな体調にいい漢方薬はあるのかな?」と気になったら、漢方薬局の扉を叩いてみてくださいね。

齋藤 友香理 - Yukari Saito
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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