漢方ライフ読む(コラム一覧) > 漢方薬が歯痛や歯ぎしりに効く?!~立効散(りっこうさん)・抑肝散(よくかんさん)
公開日:2016.05.01 更新日:2020.05.2015434view

漢方薬が歯痛や歯ぎしりに効く?!~立効散(りっこうさん)・抑肝散(よくかんさん)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.12

今回もクイズからスタートです。

次の4つの症状のうち、漢方薬の効能効果に書かれているものはいくつあるでしょう?

①歯ぎしり
②寝違え
③顔面痛
④抜歯後の疼痛



答えは4つすべてです!
今回は「え?こんなことにも効くの?」という漢方薬をご紹介しましょう。

【歯ぎしりにも効く抑肝散(よくかんさん)】
漢方薬を選ぶとき、現代医学と違って病名では判断しません。基本的に「弁証論治(べんしょうろんち)」といって、体調やこれまでの経緯、体質、現在の生活環境など、詳しく伺って総合的に治し方を決めていきます。ただ医薬品の使用目安として、「一般用漢方製剤承認基準、効能または効果」に適応する症状が書かれています。
たとえば抑肝散の効能・効果には、「神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症、歯ぎしり、更年期障害、血の道症」と書かれています。名前からして「肝を抑える」処方であり、神経が高ぶってイライラしやすい人のさまざまな症状を改善してくれます。効能・効果には書かれていませんが、「キーンという耳鳴り」や「目がぴくぴくする」などを訴えるお客様に服用していただき、よくなったケースがありました。

【顔面痛や歯痛にも漢方薬が効く?】
立効散(りっこうさん)の効能・効果には、「歯痛、抜歯後の疼痛」と書かれています。急な炎症で痛んでいる時に使える処方で、即効性があるために「効果が立つ…立効」という名前がつけられました。中に含まれている細辛(さいしん)という生薬は、局所麻酔効果もあり、煎じたものを実際に口に含むとビリビリと麻痺するような感覚があります。昨年ドイツの歯医者さんたちが漢方スクールを視察された時に立効散を味見していただきましたが、皆さん、目を丸くして驚いていました。
同様に清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)は、「顔面痛、頭痛」に効くとされていて、カゼをひいて急に頭が痛くなった時や、蓄膿症や神経痛での顔面痛にも用いられてきました。

【四十肩、五十肩、寝違えまでも!】
肩こり、四十肩、五十肩など首・肩まわりの痛みで悩んでいる方に広く用いられるのが独活葛根湯(どっかつかっこんとう)です。皆さんがよくご存知の葛根湯に、独活(どっかつ)、地黄(じおう)という、血行を良くして痛みを解消する生薬が加わっています。この処方の効能・効果には「寝違え」とも書かれているので、首が回らなくなった時にぜひ試してみたい処方です。

「一般用漢方製剤承認基準、効能または効果」は厚生労働省が基準として定めたもので、漢方の古い文献で同じ表現をしているわけではありません。漢方薬の効能効果として書かれたものは、あくまでもひとつの目安としてみた方がよいでしょう。

漢方薬は専門家に相談してから服用してくださいね。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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