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2015.08.014858view
汗のかきすぎ、夏バテ解消処方 ~清暑益気湯(せいしょえっきとう)

知っておこう!漢方薬の意外な力 vol.3

夏ばてに効く漢方があるのをご存知ですか?
夏に暑いのは仕方がないとしても、この猛烈な暑さには心も身体も痛めつけられてしまいます…そんな夏を、元気に過ごすための漢方薬、その名も「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」。「夏の暑さを清して(冷やして)、元気を益す(増やす)」という意味の処方です。今回は、この清暑益気湯と夏の過ごし方についてご紹介します。

 暦の上では、5月初旬の立夏から8月初旬の立秋までを夏といいます。実際は、梅雨明けした頃から9月上旬まで暑い日が続きます。私たちが「蒸し暑い」と表現するように、漢方における夏は高い湿度と熱があふれているととらえます。この湿度と熱は、動植物が成長する上で欠かせないものですから、言い換えれば、生命力がみなぎる季節ともいえます。人体の新陳代謝もとても活発になり、「冬病夏治(とうびょうかち)」というように冬につらかった病気も夏には快方に向かうのです。

夏の不調として思い浮かぶのはどのような症状でしょう?
 まずは熱中症のような症状でしょうか。とにかく暑く汗をかいて口が渇き、蒸しているのでだるくなります。めまいや動悸を起こすこともあるでしょう。暑すぎるとイライラしたり、逆に落ち込んでしまうこともあるようです。夜も寝苦しく不眠になる方もいます。

 夏の盛りは食欲が減って、水分が多くのど越しのよいものばかり欲しくなりますね。だるくてやる気も起こらない、そんな方に用いるのが冒頭の清暑益気湯です。効能効果には、「暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢、全身倦怠」と書いてあります。今の私にぴったり!と思った方もいるでしょう。最近はドラッグストアでもみつけることができます。

 漢方薬は数種類の生薬を配合して、ひとつの処方に作り上げています。清暑益気湯は9種類の生薬で構成されているのですが、特徴的なものがいくつかあります。まず人参は高麗人参のことで、元気を補ってくれます。黄耆(おうぎ)も元気を補い、汗がもれすぎないように体表面を固めてくれます。五味子(ごみし)は山野に自生しているチョウセンゴミシという植物の実で、とても酸っぱいのですが汗のもれを押さえながら潤いも補充してくれる、夏にぴったりの生薬です。漢方の言葉に「酸甘化陰(さんかんかいん)」というものがあります。「酸味と甘味を一緒にとると潤いに変わる」という意味です。汗をかいて水分を消耗したら、レモンとハチミツ、梅干とごはん、やまいもの酢の物、ドライフルーツなど、酸味と甘味を上手に摂り入れて過ごしましょう。

次回は不正出血と「帰脾湯」のお話です。お楽しみに!

齋藤 友香理 - Yukari Saito
[ 薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。薬日本堂漢方スクール:http://www.kampo-school.com/

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