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公開日:2025.05.14 更新日:2025.05.1480view

疲れと自律神経失調

漢方であなたを応援vol.38「疲れと自律神経」

「疲れが取れない」「やる気がわかない」は自律神経からのサイン?!
今年のゴールデンウィークはどのように過ごされましたか?12連休がとれた!という方、4日間休みを2回という分散型の方、連休も休仕事です…という方、さまざまな過ごし方があったと思います。
いつもと違う休み方、過ごし方のせいか、ゴールデンウィーク明けに、だるくてやる気がわかないという状態に陥る方がいらっしゃいます。4月に新年度を迎えた方がゴールデンウィーク明けに抱えるこの不調、五月病とも呼ばれます。

五月病でみられる主な不調としては、疲れとだるさ、無気力、意欲低下、集中力低下、不眠、食欲不振などがあります。休み明け、元気でいたいのに「疲れがとれない」「やる気がわかない」という方、これは自律神経失調のサインかもしれません。

自律神経失調による心身の疲労
自律神経は呼吸や体温、血圧、排便、代謝など、生命維持に欠かせない機能を調節する神経です。交感神経と副交感神経がスイッチのオンとオフの役割を担い、体内のさまざまなリズムを調整しています。
自律神経が乱れるとホルモンバランスが崩れ、新陳代謝、精神状態にもリズムの乱れが生じます。この時、人は疲れやだるさを強く感じてしまうようです。

イメージしてみましょう。ランニングをする時に、自分にとって快適な一定のリズムで走っていれば、身体もきつくなく、周囲の風景を見る余裕もあり、楽しく走れます。けれど、伴走者から「もっと速く!」「ここはペースを落として!」などと、予期せぬ形で指示が出たらどうでしょう?いつ指示が出てもいいように身構えてしまい気持ちは不安定、ペースが一定でないので身体に負担がかかり、疲れてしまいます。
大切なのは、自分自身のリズムで走ること。

自律神経失調は陰陽バランスの乱れ
漢方では自然のリズムを陰陽論でとらえます。陰は暗く冷たく下降する傾向、陽は明るく温かく上昇する傾向のもので、自然界のあらゆるものは陰と陽で成り立ってるという考え方が陰陽論です。月と太陽、水と火、寒い秋冬と暖かい春夏などがその例です。陰陽は波のように増えたり減ったりを繰り返してバランスを調整しています。

人体や人の営みも陰陽でとらえることができます。一日の中では、睡眠と起床のリズム、食欲のリズム、排便のリズムなどです。このリズムが崩れると疲れます。
疲れた身体を快方に向かわせるために、生活リズムを整えましょう。

・日付が変わる前に就寝
・決まった時刻に起床、太陽をあびて深呼吸
・一日の中でも運動と休養の時間でメリハリをつける
・なるべく決まった時刻に排便する習慣をつくる


陽の疲れには陰のもの、陰の疲れには陽のものを
疲れ方にも陰陽があります。
陽の疲れは、緊張や怒りなど神経が高ぶった状態で起こりがち。興奮して寝つけない、のぼせや目の充血などがみられるので、熱を冷まして気分を落ち着かせる必要があります。
ジャスミンティーや菊花ミントティー、レタスとトマトのスープなどがおすすめです。

陰の疲れは、過労や心労で気力と体力を消耗した状態で起こりがち。疲れているのに夢が多くてぐっすり眠れない、気分が落ち込んでやる気がわかないので、気血を補い、スパイスや辛味で温めて活力を取り戻す必要があります。
高麗人参やナツメを漬けた薬酒、スパイスティー、山芋とナツメのお粥などがおすすめです。
自分の疲れの傾向を知り、まずは陰陽バランスを整えることから始めてみましょう。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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