- 鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中
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気になる尿トラブルの対処法
プチ不調は自分でカイゼン Vol.60
尿トラブルを感じていても対処していない方が約半数!
40~69歳で、何かしらの尿トラブルを感じている人の約半数は、何も対処していないというデータがあります。
尿もれ、頻尿、残尿感、夜間尿など、何も対処せず、誰にも相談できず、年だから仕方がない・・・と思っている人が多いのでは!?
漢方では、これらの自覚症状を身体からの未病のサインととらえます。
症状を少しでも軽減するために、漢方薬と養生を上手に生活にとりいれ身体を整えていきます。
尿トラブルの原因を漢方では、腎虚(じんきょ)と考えます。
五臓の腎は、泌尿器、生殖器などを管理しており、加齢により衰えていくと考えられています。
尿トラブル以外にも、以下の症状が腎をケアしたほうがいい未病サインです。
□白髪が増えた □抜け毛が気になり髪が薄くなってきた □低音の耳鳴りがする
□つまずきやすい □足腰がだるい □物忘れが多い □耳が遠くなった □動きが遅くなった
□少し歩いただけで、疲れやすくなった □眠りが浅くなった □口角に泡がたまる
腎虚には、腎陽虚(じんようきょ)と腎陰虚(じんいんきょ)があります。
腎陽虚は、エネルギー不足により、冷えが強くトイレが近くなる状態、
腎陰虚は、栄養・潤い不足によりほてりが出て夜間に何回もトイレに行く状態です。
尿トラブルにおすすめの漢方薬
腎陽虚、腎陰虚でよく使用する漢方薬を紹介します。
腎陽虚タイプの漢方薬
●八味地黄丸(はちみじおうがん)
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ
腎陰虚タイプの漢方薬
●六味地黄丸(ろくみじおうがん)
体力中等度以下で、疲れやすくて尿量減少又は多尿で、ときに手足のほてり、口渇があるものの次の諸症:排尿困難、残尿感、頻尿、むくみ、かゆみ、夜尿症、しびれ
●清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
体力中等度以下で、胃腸が弱く、全身倦怠感があり、口や舌が乾き、尿が出しぶるもの
の次の諸症:残尿感、頻尿、排尿痛、尿のにごり、排尿困難、こしけ(おりもの)
※ここで紹介した漢方薬は、あくまでも代表的なものなので参考してください。実際利用する場合はきちんと相談してくださいね。
尿トラブルを軽減するおすすめ養生法
◎酸味をとる
酸味は、収斂固渋(しゅうれんこじゅう)の働きがあります。
漏れを止める働きのことで、尿もれ、頻尿、夜間尿におすすめです。
お酢の飲料、酢の物、梅、レモン、などを意識して生活に摂り入れましょう。
また、腎を補い漏れを止める働きがあり漢方薬でも実際使われている特選素材として、以下の薬膳素材がおすすめです。
山芋・・エネルギーを作って漏れを止める働きがあります
ハスの実・・漏れを取り、精神安定の働きがあります
◎黒食材で腎のケア
黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、黒酢、椎茸、海苔など黒食材は腎を元気にするので意識して生活にとりいれましょう。また、腎は寒さが大嫌いです。特に、腰回りから下半身にかけて絶対冷やさないことを意識しましょう。頻尿や夜間尿の方は尿の色を確認してください。透明で量が多い時は、冷えているという身体からのサインですよ。
◎肛門を締める
加齢により、下(しも)が緩くなると言われますよね。
くしゃみで尿もれをするとか、後追い尿もれのような症状でお困りの方は、肛門を締める養生をおすすめします。おしりをキュッと絞めるのを5回~10繰り返します。1日に2,3回、いつでもOKです。誰にも気づかれない養生法ですよ。
生活の工夫で、尿トラブルの心配が軽減され、少しでも快適に生活できたらいいですね。
せっかくなら楽しく生活に取り入れ対策をしてみましょう。
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