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公開日:2024.03.07 更新日:2024.03.071355view

呼吸、立ち方、歩き方…日常生活の中でできる“ながら”動養生

しなやかに巡るからだをつくる~動養生のポイント~Vol.1

“運動”してますか?
突然ですが、「日頃から運動はしていますか?」と聞かれたら、どう答えますか?
漢方相談にいらしたお客様に初回に伺うと「運動は特にしてないですね~。」とお答えになる方が大半です。毎日忙し過ぎて時間がない、疲れ過ぎて体力気力がない、そもそも運動が好きじゃない、などといったそれぞれの理由もあり、ご自身の運動不足を自認されている方は一般的にも多いかと思います。
また、コロナ禍を経て、スポーツジムやヨガ教室などに通っていた習慣が途絶えてしまった、というお声も聞きます。そもそも外出頻度自体が減ってしまった、という方もいらっしゃいますね。

身体は動かす頻度が減るほどに、また、動かし方が不自然になるほどに衰えていきます。身体機能の衰えは加齢によるものとあきらめる前に、まずは日常生活におけるご自身の身体の動かし方を見直してみましょう。
このコラムでは身体の動かし方によって生命を養う方法「動養生」について一緒に考えていきます。

呼吸の仕方や立ち方と歩き方を見直してみる
まずは呼吸から。
普段は無意識に行っている呼吸を意識的に行うことで、心と身体の健康を促進することもできます。
自分のいまの呼吸を観察することから始めてみましょう。鼻呼吸それとも口呼吸?呼吸の長さはどうですか?人それぞれ呼吸の癖があると思います。
口呼吸の方は鼻呼吸を意識しましょう。口呼吸のままでは、菌やウィルスなど身体に悪影響を及ぼすものの体内への侵入を無防備に許してしまいます。
呼吸器である肺は、横隔膜や外肋間筋といった筋肉の動きに助けられて呼吸運動を行っています。これらの筋肉を随意的に動かして、自分にとってしっくりくるテンポでリズムよく「吐いて、吸って」を繰り返してみましょう。お腹を締めて息をシュッと吐き、お腹をゆるめて息を吸うと吐いた分だけ空気は自然に入ってきます。姿勢を正し集中して行えば、呼吸も立派な動養生になるのです。

次に立ち方、歩き方。
普段、ご自身の重心はどこにありますか?実は足の外側(小指側)にある方が多く外ももがガチガチになり、外側に引っ張られ、立ち方、歩き方の癖からO脚になっていってしまう方もいるようです。この記事を読んだ今からはぜひ、ガチガチの外ももをほぐしつつ、重心は外側ではなく内くるぶし側(母指球側)に置くように意識してみましょう。
また、歩くときに重心を前方にかけている方も多くみられます。人の身体は地面に対して垂直な状態にあれば安定しますが、傾けばそれだけ余分な負荷がかかります。誤った重心のかけ方や身体の使い方から骨盤などにもゆがみが生じ、猫背や反り腰といったように姿勢が悪くなることもあり、それが身体の巡りが滞る一因にも繋がっていきかねません。踵から着地してからつま先へ体重移動するような意識を持って歩くようにしてみましょう。

“ながら”動養生のすすめ
動養生の実践にあたり、忙しい毎日の中でエクササイズするための場所や時間をいかに確保するか、ということに注力して頓挫してしまうよりも、朝起きてから寝るまでの日頃の身体の動かし方を見直すことから始めましょう。

通勤通学などの移動時におすすめの“ながら”動養生
●駅まで、ひと駅分だけ、などその時のご自身ができる範囲でいいので、敢えて乗り物に乗らずに歩く機会を増やす。
●エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う。
●電車やバスなどで空いている席があっても敢えて立ち、足腰の筋力とバランスを養う。

もちろん、疲れているときに無理をしてでもやらなくては、ということではなく、コンディションが比較的良いときや気持ちが向いた時にチャレンジしてみましょう。

帰宅後は座る間もなく食事の準備、という時におすすめの“ながら”動養生
●青竹踏み
キッチンに立ちながらできます。青竹を用意するのが面倒という場合は、ラップの芯を足裏でコロコロと刺激するのもおすすめです。
最初に痛いと感じる方も無理はせず、痛気持ちいいくらいの感じで続けてみましょう。ほぐれてくると足元から身体が変わってきますよ。

養生によって身体を変えるのは積み重ねが大事ですが、毎日できなくても大丈夫です。心身ともに健康で自分らしくあるために、今日からできることをまずは始めてみませんか。

関連ワード
運動 動養生 呼吸
林 美穂
お茶の水女子大学文教育学部卒業。中国人の夫との国際結婚をきっかけに、中医である義祖父の影響で東洋医学や薬食同源の考え方に出逢う。2011年に薬日本堂入社。相談員として臨床経験を積み、2020年までカガエ カンポウ ブティック京都河原町店の店長を勤め、京都の老舗料亭やホテルでの漢方セミナーも複数開催。現在は二ホンドウ漢方ブティック梅田阪神店にて上級相談員として女性のさまざまなお悩みに向き合いながら、漢方スクール大阪校にて講師を務める。四児の母。
ニホンドウ漢方ブティック梅田阪神店
薬日本堂漢方スクール

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