漢方ライフ読む(コラム一覧) > 婦人科3大漢方薬の使い分け
公開日:2023.11.20 更新日:2024.01.102558view

婦人科3大漢方薬の使い分け

漢方薬のつぶやき vol.13

婦人科3大漢方薬とは
加味逍遙散(かみしょうようさん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
婦人科疾患や女性の不調に繁用されるため、婦人科3大漢方薬といわれています。

月経痛、月経不順、子宮内膜症、子宮筋腫、妊娠希望など婦人科のお悩みに使われます。
ほかに、疲れやすい、冷え、頭痛、肩こり、むくみ、肌荒れといった女性に多い未病にも幅広く用いられています。

今回は、この婦人科3大漢方薬の特徴と使い分けについてお伝えします。

気を巡らせるなら、加味逍遙散
気の巡りがよければ、情緒が安定し、気分の浮き沈みが少なく、まさに「気分よく」過ごせます。
身体の生理機能も気の巡りによって正常に営まれます。食欲、睡眠や排便のリズム、ホルモンの分泌、自律神経のバランス、排卵や月経周期のリズムも影響を受けています。

気の巡りが滞っているとき、体が発するサインは次のようなものです。


□気分が鬱々としてスッキリしない
□イライラしやすく、怒りっぽい
□ため息が多い
□月経痛がひどい
□月経が早くきたり遅くきたり周期が乱れる
□PMS(月経前症候群)がある


改善は、気を巡らせること。
3つの漢方薬の中で気を巡らせるのが得意なのは、加味逍遙散です。

ストレスが溜まってうまく発散できずにいると、心と体がこわばってきます。
月経前にイライラ、過食、便秘、むくみ、肌荒れなど不調がひどくなるのが特徴です。

加味逍遙散は気を巡らせて、心と体のリズムやバランスを回復させていきます。

血を補うなら、当帰芍薬散
「女性は血を主とする」といわれます。
毎月の月経、人によっては妊娠・出産・授乳、そして更年期。血の量と質は女性の健康状態に影響します。

血は体と心の両方にとって栄養です。
血が十分にあれば、顔色がよく、肌や髪が潤ってツヤツヤします。筋肉はふっくら充実して、元気に動けます。
心も栄養で満たされるので、思考がクリアで、記憶力や集中力もあり、しっかり眠ることができます。

血が不足すると次のような不調がみられます。


□肌や髪が乾燥して、ツヤがない
□冷えやすい
□疲れやすく、めまい、動悸が起こりやすい
□目が疲れやすい、爪が割れやすい
□不安や心配が多い、不眠がある
□月経周期が遅れる


改善は、血を補うこと。
心と体が疲れている血不足の人には、当帰芍薬散がおすすめです。

体質は虚弱で貧血傾向。胃腸が弱く、冷えやむくみも見られます。
月経の後半から疲労感が増し、鈍い腹痛や腰痛が続くのが特徴です。

当帰芍薬散は血を補い、水分代謝を促進して、心身に元気を養っていきます。

血を巡らせるなら、桂枝茯苓丸
血は量だけでなく、巡りも大切。
血行がよいと、栄養が全身に運ばれ、老廃物は回収・排泄されて、新陳代謝がスムーズです。

血流が滞る、いわゆる「血行不良」とは、新陳代謝が低下して老廃物が溜まりやすい状態。
次のような症状は血行不良のサインです。

□肌のくすみ、シミ、目の下にクマ
□ニキビ、湿疹、肌荒れ
□足は冷える、顔はのぼせる
□肩こり、頭痛、腰痛が起こりやすい
□月経痛がひどい
□月経時に血の塊がでる


改善は、血を巡らせること。
3つの漢方薬の中で血を巡らせるのが得意なのは、桂枝茯苓丸です。

月経痛は刺すような強い痛みで、血の塊がでるのが特徴です。
血行不良は「しこり」を生じやすく、子宮内膜症や子宮筋腫の原因となります。

桂枝茯苓丸は血流を改善することで新陳代謝を高め、体をしっかりと更新していきます。

今回紹介した婦人科3大漢方薬は、病名のつく婦人科疾患はもちろん、未病である日常的な体調不良や体質改善にも使えます。
服用する際には、特徴をおさえて体調・体質に合ったものを選ぶようにしましょう。

動画でも解説!


飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

ページトップへ