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公開日:2023.09.07 更新日:2023.11.012300view

戦略的な食べ方~食べる順番を工夫する

体質と生き方を左右する食べ方~食養生のポイントVol.4

身体の不自然な老化は避けたい~「糖化」の話~
普段の食事で食べる順番について考えることはありますか?
「まずは野菜(食物繊維)から。その次に肉や魚など(たんぱく質)を食べ、最後にご飯やパンなど(炭水化物)を食べる。」というのが、よく見聞きする「健康によい食事の順番」でしょうか。

この食べ方には、血糖値の上昇やインスリン分泌を緩やかにする目的があります。ついつい食べ過ぎてしまいがちな炭水化物を順番的に最後に食べることで、その量を控えめにできるという期待もあります。
血糖値が急上昇してしまうとインスリンの分泌も過多となり、血糖値の急降下を招きます。ジェットコースターのように上がり下がりしてしまう状態が常になると、身体への負担はさることながら、気持ちもアップダウンして不安定になりがちです。

そもそも糖は生命活動を維持する上で必要不可欠なエネルギー源であり、忌み嫌うべき対象ではありません。古代において、我々の遠い祖先が食料不足の状況で生命維持をするには、いかに血中に糖を巡らせるかが大事であったはずです。
しかし、現代においては飽食で糖が過剰になりやすく、かつ運動不足で筋肉が衰え、その過剰な糖の消費がままならないわけです。
我々の身体を構成する主要な要素であるたんぱく質が、この過剰な糖と結びつき体内の熱によって変性してしまうという「糖化」が起こりやすくなることが、健康な身体を維持する上での問題となってきます。
皮膚も筋肉も骨の一部もたんぱく質ですが、糖化が起こると正常に機能しなくなり、生活習慣病に繋がっていったり、不自然な老化が促進されてしまうと言われています。

食べる順番も体質によって変わる
漢方の考え方での身体の機能のとらえ方「五臓」の中に、消化器系を指す「脾(ひ)」という概念があります。
「脾」が元気であれば食べたものからきちんと栄養を体内にとりこみ、漢方で考える身体の構成要素である「気血水(きけつすい)」に転換(気化)し、全身に滞りなく運搬していくことができるので、身体の各機能が正常に働いて健康を維持し、体型や体重も適正に保てます。

「脾」が正常にはたらくためには、冷やさないようにするのがポイントです。「お腹が冷えやすいし、あまり強くないかな」という方は特に、食事のはじめには消化管を温めてあげましょう。温かいお味噌汁に口をつけ、ゆっくりと飲みます。
生野菜をはじめに食べることは、食物繊維のみならず、消化をたすける食物酵素を含むという理由でもおすすめですが、内臓冷えの方は加熱調理をしていないものは控えめにするとよいでしょう。代わりに根野菜の煮物などはおすすめです。そのあとに肉や魚、そして最後にご飯という順で、そしてよく噛んで食べることで、消化吸収という「脾」の仕事を積極的にサポートしてあげましょう。

忙しい朝もちょこっと工夫しよう!
漢方相談でご来店のお客様に食生活を伺うと、大多数の方が、口をそろえて「朝はパン」とおっしゃいます。忙しい現代人の忙しい朝、手軽なパン食が定着していることを再認識します。食べる「順番」という以前に、「トースト1枚かじって会社(学校)へ!」という方も多くいらっしゃいます。


昨日の晩ごはんから時間の空いている朝は、身体がより糖を吸収しようと構えているので、トーストやシリアルなど糖質に偏った朝食は身体の糖化に繋がりやすいです。
朝から何品も用意するのが難しければ、食物繊維やビタミンミネラルの豊富な玄米をおにぎりにしてごま塩をふって食べるのもおすすめです。パン食から玄米食に変えるのはやはり難しいというのであれば、トーストを全粒粉のパンに変えるのもいいですね。ぜひ、できることから始めてみましょう。

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食習慣 食養生
林 美穂
お茶の水女子大学文教育学部卒業。中国人の夫との国際結婚をきっかけに、中医である義祖父の影響で東洋医学や薬食同源の考え方に出逢う。2011年に薬日本堂入社。相談員として臨床経験を積み、2020年までカガエ カンポウ ブティック京都河原町店の店長を勤め、京都の老舗料亭やホテルでの漢方セミナーも複数開催。現在は二ホンドウ漢方ブティック梅田阪神店にて上級相談員として女性のさまざまなお悩みに向き合いながら、漢方スクール大阪校にて講師を務める。四児の母。
ニホンドウ漢方ブティック梅田阪神店
薬日本堂漢方スクール

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