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公開日:2022.07.15 3671view

肺が元気、全身も元気!身体を守る衛気を養おう!

漢方と体内時計~健康を導く24時間の過ごし方 vol.4 

自分の身体は自分で守る?!
人は何故病気になるのでしょうか?
病気の原因を知り、それを防ぐことに人類は力を注いできました。
古代ギリシアでは、人体に存在する4種類の液体のバランスが崩れることで病気になると考え、中医学でも、気血水のバランスが崩れることが原因と考えました。

しかし、感染症が大流行すると「外から人体を病気にする原因(邪気)が入ってくるのでは?」と考えるようになりました。
鼻や口、毛穴などから邪気が入ってきて病気になっては困りますので、人体にはそれを防ぐ働きや、もし病気になっても自分で治そうとする力があります。
一般的に「免疫力」「自然治癒力」と呼ばれるものですが、
人体だけでなく、生き物は自分で自分を守り、治そうとするのです。

漢方では、この「自分を守ろうとする力」を衛気(えき)と呼び、これが私たちの身体の周りで頑張っていることで外邪を寄せ付けず、病気になることを防いでいると考えます。
衛気と今回紹介する体内時計の「寅(とら)の刻」(3-5時)に該当する五臓六腑の“肺(はい)”は関連しています。
まずは漢方で考える“肺”の働きを見ていきましょう!

漢方で考える肺の働き
簡単に肺の働きを紹介しましょう。
漢方で考える“肺”は、西洋医学的な呼吸器系をさすだけでなく、皮膚や体毛・毛穴などとつながっています。

①気と呼吸を主る(つかさどる)
呼吸によって、新鮮な気を取り込み、体内で不要になった気を排出しています。
取り込んだ気は、人間の生命活動を担うエネルギーである「気」の材料になり、全身に届けられます。
エネルギーとしての「気」には、病気を引き起こすものを身体に入れないようにする「防衛」のはたらきがあり、
肺がこの防衛する気=衛気(えき)に関係していると考えられています。

②皮膚や体毛・毛穴とつながっている 
漢方では、肺は気を主るほかに水の巡りを主ると考えます。
体の中の水を巡らせて皮膚を潤したり、毛穴から汗を出したりします。
人体に病気を引き起こすものが入ってこようとしているときに毛穴を閉じて防御します

最後に“肺”を整えるお手軽ケアをご紹介します。

呼吸は「心と体」、「体と外気」をつなぐ架け橋!
呼吸は無意識に行われていますが、意識的に変えることもできます!
緊張している時は呼吸が浅く・早くなり、リラックスしている時は呼吸が深く・ゆっくりしているといわれます。
深い呼吸によって全身に「新鮮な気」「エネルギーである気」を行き渡らせることができます。 

【くつろぐ呼吸法】
①口からゆっくりと、長く息を吐き切る
②口を閉じて、鼻から静かに息を吸いながら、心の中で4つ数えます
③息を止めたまま7つ数えます
④8つ数える間に口から息を「ふぅ〜」と吐きます
※これを4〜8回繰り返します

呼吸は「吐いてから吸う」が基本です。
深く、長く吐き切ることで体内の邪気が排出され、自然に新鮮な気がたくさん入ってきます。
呼吸を整えるといいタイミングは「朝」です。
朝(3-5時)は、漢方では陽の時間で、朝起きた時に新鮮な“気”を取り込むことで活発になります。

毎日私も続けてみたら、今まで呼吸が浅かったことに気が付きました。
深い呼吸で取り込む新鮮な気で肺を元気に!私達を邪気から守る衛気をパワーアップさせていきましょう!

次回は、腸内環境の改善をしたい方へ
「毎朝すっきり快便!5~7時の過ごし方」
卯の刻(5~7時)の担当である大腸経とその時間帯の過ごし方について語ります。
お楽しみに!

<共著>

荒毛 克麻
荒毛 克麻 - Katsuma Arake

[カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長・薬日本堂漢方スクール講師]
自身の体調を崩した事をきっかけに、薬日本堂漢方スクールにて漢方を学び始める。養生・漢方の魅力を多くの方に伝えたい想いから、2012年薬日本堂に入社。現在はカガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店店長として、漢方相談を行いながら、スクール講師を務める。ダイエットや美容の相談を得意とし、笑顔になれるカウンセリングに定評がある。テレビ新潟では、漢方コーナー「おしえて漢方」の出演経験も持つ。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら
カガエ カンポウ ブティック パルコヤ上野店

原口 徳子
原口 徳子 - Noriko Haraguchi[中医師・薬日本堂漢方スクール講師]

1963年仙台市生まれ。高校生の頃に太極拳を学び、経絡や気の流れに興味を持つ。家族の転勤で2003年から10年ほど中国に住む間に、上海中医薬大学で中医学と鍼灸推拿学を7年間学ぶ。修士号(中医学)を取得して卒業、中医師の資格を取得後2014年に帰国。「お母さんと子供を元気にする漢方と養生」の普及のために活動中。

漢方スクールでの担当コース・セミナーはこちら

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