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公開日:2022.03.20 更新日:2022.03.202958view

春は目の不調にご用心…セロリと人参でケア

季節を感じて気軽に薬膳 vol.24

やわらかい春陽が嬉しい「春分」
二十四節気の春分、昼と夜の長さが同じになる節気。
17時を過ぎても薄明るく、日が伸びていると実感している方も多いでしょう。

春の日差しを春陽(しゅんよう)といいます。
漢方では「明るい」「暖かい」「熱」「上昇」などは陽のエネルギー、「陽気」と考え、春のイメージとも重なります。
明るい気持ちで新年度を迎えましょう。

陽気の高ぶりは目にあらわれる
3月初旬、「冬コートでよかった…」と寒さを感じた翌日に、「コートがいらないかも!」と思うくらい暖かい日がありました。
このように気温の変動が激しいのが春の特徴です。

そしてこの時季、陽気が高ぶり過ぎて身体の上部にある頭にさまざまな不調があらわれます。
・なんとなくふわふわしてめまいがする
・キーンという耳鳴りがする
・頭痛がする
・イライラして気持ちが落ち着かない

これ以外によくみられるのが「目の充血」「目の痒みや痛み」など、目の不調です。
漢方では、春は五臓の肝が多忙で、そこにつながる目に不調があらわれやすいと考えます。
そういえば、花粉症で「鼻の症状よりも目がつらい」という人もいらっしゃいますね。

このような時は、頭や目に集まった熱をさますことが大切です。
私がこの時季に好んで飲むのが、烏龍茶や台湾緑茶にキクの花とクコの実、ミントを加えたお茶です。

クコの実とキクの花は目にまつわる最強ペア、キクの花とミントは頭部の熱をさますコンビです。
スッキリとした味わいなのでおすすめです。

セロリと人参で目を養生
薬膳では頭部、特に目の熱をさますのが得意なセロリと、目の栄養でもある血(けつ)を補う人参のコンビが重宝します。
生でサラダや和え物、加熱して炒め物やスープにするなど、たくさんのレシピがあります。
ミキサーをお持ちの方は、セロリと人参にリンゴを加えてジュースにしてもよいでしょう。

基本は薄味にすること。
陽気の高ぶりがある時は、香辛料や肉、油の使い過ぎによって症状が悪化することがあります。
注意してください。

今回は生のシャキシャキした食感も楽しめる和え物をご紹介します。

【材料】(2~3人分)
セロリ 1本
人参 1/2本
クコの実 大さじ1
ごま油 大さじ1
塩・コショウ 少々

【作り方】
①セロリの葉の部分はひと口大に、茎の部分はすじを取ってから斜め薄切りにする。
②人参は千切りにし、クコの実は2~3分水につけて戻す。
③ボウルに①と②を入れ、ごま油、塩・コショウ加えて和える。

【薬膳食材メモ】
セロリ:涼性/甘味・苦味 肝の熱をさます
人参:平性/甘味 脾の調子を整え、血を補う
クコの実:平性/甘味 血を補う


1年に渡って気軽にできる薬膳をご紹介してきました。
「季節を感じて気軽に薬膳」シリーズはここで終了します。
ご愛読いただき、ありがとうございました。

薬膳は難しく考えずに、季節にあった食材を食べることから始めましょう。
またお会いできるのを楽しみにしています。

齋藤 友香理
齋藤 友香理 - Yukari Saito[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年北海道生まれ。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務めていた。多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら社員教育にも携わり、「養生を指導できる人材」の育成に励んでいる。分かりやすい解説と気さくな人柄で、幅広い年齢層から支持されている。

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