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公開日:2022.01.15 更新日:2022.01.154057view

虚弱な人に多い、「眠いのに眠れない」

眠りと漢方~眠れぬ夜のために vol.4

疲れているのに眠れない
朝から夕方まで活動し、疲れて眠気も感じていたのに、いざ布団に入ってみると「あれ?なんだか寝つけない」という経験をしたことがあります。
その時、「これが疲れているのに眠れない不眠だ!」とわかり、眠れない不快感と体験の納得感とで複雑な気分でした。

今回は、虚弱な人に起こりやすい「眠いのに眠れない」不眠の話です。

エネルギー不足で眠る力がない
「疲れているのに眠れない」「眠いのに眠れない」というのは不思議ですね。

このタイプの不眠の特徴は、
・疲れて眠気を感じているのに眠れない。
・寝てもすぐ目が覚める。
・眠りが浅く、寝た気がしない。
・虚弱な体質の人に起こりやすい。
・入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害の分類では「入眠障害」「中途覚醒」「熟睡障害」としてあらわれる。

気力や体力といったエネルギーが消耗して眠れなくなっているイメージです。
本来は気力・体力を養い回復させるために眠るのですが、「眠る」という生理機能にもある程度のエネルギーが必要なのですね。
そのため、疲れ過ぎてエネルギー不足になると寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなります。

心の栄養である血(けつ)の消耗
では、眠るためのエネルギーとは何でしょうか。

身体は気・血・水でつくられ、気・血・水によって生理機能が営まれています。
気・血・水とは身体の構成成分でもあり、エネルギーでもあるのです。
この中で「眠り」にとくに関係が深いエネルギーは血(けつ)です。

血液といえば栄養ですね。
漢方では、血(けつ)は体の栄養であるとともに心の栄養であると考えます。
「心の栄養」とは、意識、精神、情緒、睡眠、記憶、意欲などのはたらきを支える栄養という意味です。
血(けつ)が心の栄養であるため、睡眠にも大きく影響するのです。

つまり、「眠いのに眠れない」タイプの不眠は、体と心の栄養である血(けつ)が消耗し過ぎているタイプといえます。


そして、自分がもっている血(けつ)の量に対して、活動によって消耗する血(けつ)が多過ぎるときに、この不眠が起こります。
ということは、血(けつ)の消耗を抑え、血(けつ)を補うことが改善のポイントとなります。

次回、養生についてお話しします。

飯田 勝恵
飯田 勝恵 - Katsue Iida[薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師]

静岡県立大学薬学部卒業。1998年薬日本堂入社。約10年間の臨床と店長を経験。店舗運営や相談員教育などに携わり、その後「自然・人・社会に役立つ漢方の考えをより多くの人に伝えたい」と講師として活動。薬だけではない漢方の思想や理論に惹かれ、気功や太極拳、瞑想なども生活に取り入れながら漢方・養生を実践している。

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