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公開日:2021.05.01 更新日:2023.11.105380view

女性と漢方養生~月経トラブル編

コラム:プチ不調は自分でカイゼン Vol.25

漢方で子宮力をあげるには?
まずは、チューリップの球根をイメージしてみましょう。
栄養たっぷりの土の中に埋まっている球根です。

球根は、たっぷりの水と温かい日差しが必要です。
これらの栄養と水、日差しがしっかり届くと、芽が出て、葉を広げ、やがて美しいチューリップとして花が咲きます。

子宮力は、この球根と同じです。

エネルギーに満ち溢れ、大切な栄養が隅々まで届けられ、水分によって潤っている。
こうすることで子宮は、大きな力を発揮してホルモンバランスを整え、美しく輝いた女性として花を咲かせることができます。

カンカン照りや日陰でも、栄養や水を与えすぎても少なくても、チューリップは美しく咲きません。

漢方では、温かい日差しのエネルギーを気(き)、大切な栄養を血(けつ)、そして、潤いを調整し、チューリップの成長する力を五臓の腎(じん)と考え、この3つのバランスを取ることに重点を置きます。

「ストレス」「冷え」「年齢」「睡眠不足」「食事の不摂生」「子宮内膜症や子宮筋腫」「高プロラクチン血症」など、月経トラブルの原因は様々です。

さらに、疲れやむくみ、頭痛、肩こり、めまいなどの自覚症状は人それぞれです。
自覚症状という体からのサインを一人ひとりの体質ととらえ、個々に合わせたアプローチをして体を整えていくのが漢方です。

漢方で子宮力を上げて月経トラブルを改善するということは、ただ単に漢方薬を飲むということだけではなく、日々の生活を見直すこと、つまり「養生」を大切に考えます。
身体からの未病サインに耳を傾け身体のリセットをすることで、本来持っている自然治癒力を最大限に発揮することができます。

月経トラブルを改善する漢方養生法
生活や仕事環境、未病のサインに合わせた個々の養生法が必要になりますが、すべての女性に意識してほしい養生生活の基礎を確認しましょう。
ポイントは、気・血そして腎の土台をしっかり作ることです。

●気(き)を補う
よく噛む!1回30回、胃腸の調子が良くなり栄養が吸収しやすくなります。
ウォーキングやヨガなど深い呼吸を意識した運動、特に朝の運動がおススメです。

●血(けつ)を補う
ナツメやクコの実などの赤い食材や、プルーン、イチジクなどのドライフルーツ、また種や実、ナッツ類を積極的に食べましょう。

●五臓の腎(じん)を補う
良く寝る!理想は22時、遅くとも今日中に布団に入りましょう
からだを温める黒い食べ物(黒豆、黒ゴマ、黒酢など)を食べるようにしましょう。
腰回りを絶対冷やさない生活を心がけます。

クコの実で子宮力アップ!
『枸杞を長期にわたって服用すると、病を除いて寿命をのばし、人を聡明にし、身体を軽やかにし、気力を増進し、冷え性を治し、熱を下げます。百日間にわたって服用を続ければ、あらゆる病がことごとく治り、目も耳も他人に分からないところまで、よく分かるようになります。・・・・・千金を与えられても伝えてはなりません。』
≪医心方巻26第1より≫

赤いものは血を補うとされ、特に女性に良く、また目に栄養を与えますので、視力低下や疲れ目におススメです。
そのまま食べてもいいですが、いろいろな活用で楽しみましょう。

◎クコ酒
クコの実60g、レモン1個(皮をむ輪切り)、氷砂糖50g、ホワイトリカー720mlを密閉の容器に入れ、3週間冷暗所で保存する。お湯割りがおススメです。
◎クコ茶
マグカップにクコの実を10~15粒入れ、お湯を注いで3~4分蒸らして出来上がり。

他に、クコ酢、クコみりん、クコハチミツなどいろいろなものに漬けて、成分を抽出して、生活に取り入れるのも楽しいですね。

次回、6月1日のコラムでは、「ストレスと月経トラブル~女性と漢方養生②」について書きます。お楽しみに!





鈴木 養平
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中

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