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2020.05.282116view

漢方で見る感染症対策vol 11 小青竜湯と五苓散

新型コロナウイルスをはじめとした感染症についてお伝えする「漢方で見る感染症対策」シリーズの前回、第10回はのどの感染症によい「銀翹散」と、夏かぜや胃腸の症状を伴ったかぜに用いる「藿香正気散」を紹介しました。今回は鈴木養平講師が「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」「五苓散(ごれいさん)」について紹介します。


小青竜湯~雲水を動かし、東を司る伝説の王、青龍

「小青竜湯」は、中国の古典医学書『傷寒論(しょうかんろん)』に記載されています。
くしゃみ、うすい水様の痰を伴うかぜや鼻炎、ゼーゼーと喘鳴がしたり、ゴロゴロと痰のつまった音を伴う気管支炎や気管支ぜんそく等に使われます。近年には、効能効果に花粉症の表現が加わり、シーズンになるとドラッグストアなどの店頭で見る機会も多くなっていますね。
漢方では、これらの症状の原因を『水滞(すいたい)』と考えます。ふだんから胃腸、気管や胸から脇にかけて水滞のある人は、アレルギーや感染、鼻炎、ストレス等のため、水気が上半身にあふれ、鼻水や痰の症状が現れます。

小青竜湯に入っている生薬は、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、細辛(さいしん)、乾姜(かんきょう)、五味子(ごみし)、半夏(はんげ)、甘草(かんぞう)の8種類。これらの生薬がもつ様々な働きを組み合わせることにより、その働きを強化したり全体の調整をおこなったりしています。

この中で、最も重要な役割を持つ生薬は麻黄です。
麻黄・桂皮・細辛・乾姜の組み合わせが身体を温め血行を促進します。
さらに、麻黄・細辛で利水し浮腫を軽減させます。
麻黄・五味子・半夏・細辛の組み合わせが咳を沈め呼吸を落ち着かせます。
芍薬・甘草は、麻黄・桂皮・細辛による過剰な発散を抑制し全体を調和します。

青龍とは、伝説の中の海の王であり雲水を動かす力があります。また、方角では東を司る神獣です。中国の東の地は湿気が多い地域のため身体に水が溜まりやすく、そのため小青竜湯には青紫色の麻黄が入って発汗させることで余計な水を排除します。


五苓散~水を巡らせ排出する5つの力
「五苓散」は、中国の古典医学書『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載されています。体内の水分代謝を改善するはたらきがあり、通常は、むくみ、喉の乾き、下痢、吐き気、頭痛などの症状を和らげるために用いられます。外に水を出す作用があるため、二日酔いの原因となっている代謝物を排出する作用とともに、二日酔いの症状に良いとされ、ドラッグストアなどの店頭で見る機会が多くなりました。

五苓散は、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、猪苓(ちょれい)、白朮(びゃくじゅつ)、桂皮(けいひ)の5つの生薬から構成されており、それにちなんで、五苓散と呼ばれています。

沢瀉が主薬です。
沢瀉・茯苓・猪苓が膀胱に働き不要な水を尿として排出します。
白朮は健脾利水の働きで脾のはたらきを強めて水湿を動かします。
桂皮は解表するとともに身体を温め、膀胱の働きを助けて水液代謝を促進します。

『傷寒論』では、「表邪が解せずに、太陽膀胱経に深入し、膀胱の気化の働きが失調して生じる小便不利、浮腫などにも用いる」と記されています。
風邪や感染症にかかって症状が移り変わる中で、水の巡りが悪いために口は渇くが、飲んだ水が溜まっている水に拒否されて嘔吐してしまう様な場合に用いることができます。

漢方薬の場合、体力の有無などで、その薬が適しているかどうか判断する場合が多いですが、五苓散の場合は、体力に関係なく服用することができ、喉の渇きがある、尿量が少ない、めまい、嘔吐など様々な場合に用いられます。

花粉症に良いとされている小青竜湯ですが、もともとは咳や痰に使う処方でした。また、むくみに良いとされる五苓散は、今回の新型コロナウイルス感染症で下痢や嘔吐などの症状を伴った場合に、他の処方と併用することで優れた効果が得られたとのことです。

次回は劉梅講師による「小柴胡湯(しょうさいことう)」と「神秘湯(しんぴとう)」の話題です。ぜひご覧ください。

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鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
鈴木 養平 - Youhei Suzuki[薬日本堂漢方スクール講師・薬剤師]
1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。札幌に勤務中、TVの漢方コーナーにてレギュラー出演。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”とセミナー講師・雑誌・本の監修(『おうちでできる漢方ごはん』『かんたん・おいしい薬膳レシピ』)で活躍中
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